政府は埋め立て承認の撤回を取り消すよう求める法的対抗措置をとる方針だ。
事前の手続き不備を理由とした承認の「取り消し」をめぐる裁判では最高裁で県の敗訴が確定しており、
今後行われる裁判でも勝訴できると踏む。

 しかし、問題はその先だ。
 辺野古の軟弱地盤の改良工事や設計変更について新知事の承認を得なければならない。
防衛省幹部は「これまでは知事の承認を得ないで進められるギリギリの工事をしてきたが、
それも限界に近づきつつある」と述べる。
玉城氏は「あらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地はつくらせない」とも語っており、移設工事が進まなくなる可能性は否定できない。

一方、政府が玉城氏との間で妥協することも難しい。玉城氏自身は「保守」を名乗っているが、
共産党や社民党など革新勢力の支援なしで知事選は勝利できなかった。
翁長県政時代も活動家が大挙して県庁に押し寄せ、政府との妥協を牽制する光景が頻繁に見られた。
玉城氏も9月1日に辺野古を訪れた際、県庁などに押しかける活動家の行動を褒めたたえた。

 とはいえ、玉城氏が普天間飛行場の早期返還にこぎ着ける道筋を描き切っているわけではない。
辺野古以外の移設先についても言及していない。
米国人の父を持つ玉城氏は「私はお父さんの血が流れているから、向こうの人たち(米政府)は絶対否定できない」と
移設交渉に自信を見せるが、米政府の戦略的判断と血筋は全く関係がない。

 日米両政府の普天間返還合意から22年。玉城氏の当選で、市街地に囲まれた普天間飛行場の危険性は、
さらに続く恐れがある。
平成16年8月には隣接する大学に米海兵隊ヘリが墜落し、昨年12月にも小学校校庭にヘリの窓枠が落下した。
玉城氏は日米同盟を支持する立場だが、犠牲者が生まれる事故が発生すれば同盟に対する国民的支持を揺るがしかねない。
県民の命を守る知事の責任も問われることになる。

https://www.sankei.com/politics/news/180930/plt1809300034-n1.html
https://www.sankei.com/politics/news/180930/plt1809300034-n2.html