■森友公文書改ざん、自殺した職員の父「正直やったから」

今年2月、久しぶりに岡山県の実家に帰ってきた息子は、少し痩せて見えた。

こたつに入り、世間話をした。いつもと変わらぬ息子の大きな声だった。それが、財務省近畿財務局に勤めていた息子と語らった最後のひとときだった。

 3月に入り、財務省が学校法人・森友学園(大阪市)との土地取引に関する決裁文書を書き換えた疑いがあると明らかになった。国会で追及が続いていた3月7日、息子は神戸市の自宅で自ら命を絶った。

 父親宛てに7〜8枚の紙に印刷された遺書が残されていた。細かな内容は覚えていない。ただ、森友学園との土地取引の仕事に携わっていたこと、上司に指示されて決裁文書の改ざんに関わったことを苦にしていたことがつづられていた、と記憶している。

 普段は仕事のことはあまり口にしなかったが、真面目に、一生懸命打ち込んでいたことは感じていた。初任地の書類も全て、段ボール箱にきっちり保管するほど几帳面(きちょうめん)な性格だった。

 公文書に手を付けることが公務員にとってどれほど重大なことか、ぼんやりとしか分からない。でも、「正直やったから、それを一番苦にしたんやろう」と思う。

 息子の死から約3カ月後、大阪地検特捜部が一連の文書改ざんに関わった財務省関係者を全て不起訴にしたのは意外だった。「何か、罪になるんやないかなと思っとった」

     ◇

 検察の不起訴処分が妥当かどうか、検察審査会での審査が続く森友問題。自殺した近畿財務局の男性職員(当時54)の父親(83)が26日に朝日新聞の取材に応じ、思いを語った。(多鹿ちなみ)

朝日新聞
2018年9月28日5時7分
https://www.asahi.com/articles/ASL9V7L24L9VPTIL02J.html


■「財務省なんかやめときゃよかったんや」 自殺職員の父

「一生懸命、仕事に打ち込んだ結果がこれなら、かわいそうや」。財務省の公文書改ざん疑惑が発覚した後の3月に自殺した財務省近畿財務局の男性職員の父親(83)が朝日新聞の取材に応じた。54歳でこの世を去った息子について、声を詰まらせながら語った。

父親は岡山県内の自宅で取材に応じた。傍らの仏壇の近くには、笑顔の遺影があった。

 父親によると、職員は高校卒業後に国鉄に勤め、民営化を機に当時の大蔵省に転職。地方の事務所や本省勤務を経て大阪の近畿財務局に赴任した。仕事の傍ら夜間大学に通い、教員免許も取得したという。

 亡くなった当時は学校法人・森友学園(大阪市)との国有地売買の交渉・契約の担当部署に所属。上席国有財産管理官という役職だった。

 最後に会ったのは、今年2月半ばに実家に帰省したとき。こたつで3時間ほど世間話をした。「いつも通り大きな声で。多少痩せとるなぁ、という感じはしたんですけど」

 近畿財務局では昨年2月以降、公文書の改ざんが進められており、職員は秋ごろから仕事を休んでいた。父親は息子が森友学園の問題に関わっていたとは知らず、この日が最後の時間になるとは思ってもいなかった。

 「病院に搬送された」。3月7…

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朝日新聞
2018年9月28日5時7分
https://www.asahi.com/articles/ASL9V7L24L9VPTIL02K.html