■10月1日組閣は沖縄県知事選の報道封じ パワハラ告発の斎藤農水相は交代、安倍首相“お友達”の入閣が目玉?

自民党総裁選は大方の予想を覆し、石破茂氏が善戦し、ザワつく永田町。9月30日投開票の沖縄県知事選、10月1日に行われる組閣で失敗すれば、安倍晋三首相は船出から窮地に陥る可能性が出てきた。

閣僚人事の発表は10月1日だが、この日程には裏がある。

「接戦となっている沖縄知事選で自民党が負け、反安倍の機運が高まったとしても、翌日に閣僚人事を発表すれば、すぐに火消しができると官邸は計算していると思います」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

 石破善戦の余波は組閣人事にも少なからぬ影響を与えそうだ。鈴木氏が続ける。

「ポスト安倍に向けて、派閥間でつばぜり合いが始まることが予想されます。安倍氏は次がないわけだから、実はレームダック同然なのです。変わらず求心力をキープしていくためには、人事しかない。麻生太郎、菅義偉、二階俊博の各氏ら、キングメーカーと呼ばれる人たちを安倍氏はきっちり味方にしておかなければならない。彼らの重要ポストは動かないとみます」

 だが、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は麻生氏に代えて岸田文雄財務相もあり得るという。

「財務省の一連の問題に対しては、やはりケジメが必要です。麻生氏を留任させたら、誰も責任を取らないことになる。岸田さんは自身の総裁選立候補を見送り、安倍支持を打ち出した。その見返りが財務相ポスト。岸田さんはポスト安倍として顔を売りたいので渡りに船でしょう」

 政治評論家の屋山太郎氏の意見は異なる。

「岸田さんの顔を立てなきゃいけないけど、安倍さんの評価は低いと思う。石破さんよりマシという感じ。麻生さんは副総理は続けるが、財務相は疲れるので外れるかも。ただ、本人がやると言えば、続投でしょう」

 盟友の甘利明・元経済再生担当相、「安倍総裁三選を応援する有志の会」代表を務めた下村博文・元文科相、側近の萩生田光一幹事長代行らの論功行賞人事も注目される。

「甘利氏は復活するよ。彼は安倍さんの本当の手の内だからね」(屋山氏)

 だが、甘利氏が大臣室で50万円を受け取った金銭授受問題は不起訴処分になったとはいえ、説明責任を果たしたとは言い難い。政治ジャーナリスト・野上忠興氏は、閣僚としての再登板に否定的だ。

「閣僚復帰となれば就任会見で金銭問題の質問を浴びせられ、秋の臨時国会でも野党の標的にされる可能性もあり、内閣のイメージ悪化は不可避でしょう。総裁選で予想外の苦戦で、復帰には入閣カードを切らずに党三役として処遇の道を選ぶこともあり得ます」

 竹下亘氏の後任として、党総務会長に就くと予想する。

 しかし、政調会長に加藤勝信厚労相、総務会長に下村氏を有力視する見方もある。

「加藤さんは故・加藤六月さんの娘婿。首相の母、洋子さんは六月夫人と懇意で、加藤家と安倍家は強い関係がある。さらに加藤さんは竹下派で、石破一本化を潰し、自主投票にした功労者。ねぎらう必要もある。加藤さんを政調会長にすると、総務会長の竹下さんと同じ派閥になってしまうので、玉突きで下村さんを総務会長にするのではないか」(角谷氏)

 下村氏本人は細田派会長ポストを希望しているという情報もある。

 萩生田氏も入閣が有力視される。自民党関係者の一人が言う。

「本人は総務、経産相など重要閣僚狙いらしい。だが、まだ5期目だし、初入閣だから経済再生担当などになるのではないか。だが、お友達人事をやると、不満のマグマが党内にたまることになる」

 こうしたお友達らの猟官運動は水面下で激しさを増している。鈴木氏がこう指摘する。

「安倍さんに次はないわけですから、3年の任期が、世代交代し、場合によっては途中退陣もありうる。下手すれば、最後の組閣になりかねない」
 同じ派閥の萩生田氏、西村康稔官房副長官、橋本聖子氏ら入閣待望組にとってはラストチャンスとなりそうなのだ。

つづく

週刊朝日
2018.9.25 07:00
https://dot.asahi.com/wa/2018092400018.html