■ライバル誌に沖縄バッシング記事掲載の掟破りで業界を追われた過去

翁長雄志沖縄県知事が亡くなったことに伴う沖縄県知事選が13日に告示され、同日午前までに4人が立候補した(投開票日は30日)。選挙戦が、「オール沖縄」が推す前自由党衆院議員の玉城デニー氏(無所属・新人)と、自民・公明・維新・希望などが推薦する前宜野湾市長・佐喜真淳氏(無所属・新人)の一騎打ちとなるのは確実な情勢だ。所得向上など経済振興策を争点にしたい佐喜真氏に対し、玉城氏は普天間飛行場の辺野古移設に反対する立場を明確にしている。

■玉城氏を狙った悪質なデマが拡散

 ネット上などでは公示前から激しい「空中戦」が繰り広げられていた。9月2日ごろから拡散し始めたのは、「公示前に貼られた玉城デニー氏のポスター」とされる画像。玉城氏の顔写真がついた手作りとみられるポスター画像には、「沖縄県内に貼られていた」という説明が付けられている。しかし、この画像は玉城氏の公式ポスターではないことがわかっており、「東京都北区」のタグが付けられていたことからも、悪質な「自作自演デマ」であることは確実だ。

ニュースサイトのBuzzFeed Newsが9月12日に掲載した記事では、「沖縄知事選サイト」を自称するサイトが乱立していることをレポート。サイトの内容がオール沖縄や玉城氏を誹謗中傷するものばかりであることを問題視したうえで、サイトの管理者が同一人物である疑惑にも迫っている。

 さらに、地元選対関係者の間で一時流布されていた、「世論調査の結果、玉城氏が佐喜真氏をダブルスコアでリードしていることがわかった。玉城氏の当確」なる情報もデマであることがわかった。地元紙『琉球新報』がファクトチェック(真偽確認)を行ったもので、偽世論調査がどこから出た情報かはわかっていないものの、「サンプル数2000」などの細部にこだわっているあたりは「情報戦の手練れ」の仕業とみるべきだろう。

 こうした状況を重く受け止めた玉城氏は10日、インターネット上を中心に「自身に関する事実誤認のデマが拡散している」として、名誉毀損で刑事告訴の手続きに入っている。

■佐喜真陣営に、なぜか『週刊文春』の元記者

 早くも激しさを見せている沖縄県知事選だが、そんななか取材で沖縄入りしているフリージャーナリストは、佐喜真陣営である「有名人」を見つけて驚いたという。

 「9月3日に行われた佐喜真氏の政策発表で、佐喜真氏に助言したり後ろからメモを渡すなどの重要な役割を担っていたのは、『週刊文春』の元記者、竹中明洋氏です。本人の弁によれば山口県の出身で、北海道大学を出た後、NHK札幌の記者や山岡達丸衆院議員(国民)の秘書などを経て『文春』の特派記者をやっていました」

 竹中氏は2017年3月に『沖縄を売った男』(扶桑社)なる本を出しており、その著者紹介によると「1973年山口県生まれ。北海道大学卒業、東京大学大学院修士課程中退、ロシア・サンクトペテルブルグ大学留学。在ウズベキスタン日本大使館専門調査員、NHK記者、衆議院議員秘書、週刊文春記者などを経てフリーランス」と、華々しい経歴が並んでいる。

 竹中氏は2016年に、所属する『文春』のライバル誌である『週刊新潮』に記事を書いたことで『文春』をクビになっているが、その「掟破り」もさることながら、記事の内容もかなり悪質だった。
 「こじれた沖縄を牛耳る『琉球新報』『沖縄タイムス』の研究」と題された記事は、沖縄の地元2紙をこじつけまがいに非難するあまりにも偏ったもので、これを問題視した『週刊金曜日』が『新潮』と『文春』双方に質問状を送付(これがきっかけで竹中氏の記事であることが判明)。ネットジャーナル「LITERA」なども「ヘイトまがいの一方的な批判に終始」と批判していた。

 情報誌記者は竹中氏が『文春』を離れた理由をこう解説する。
 「竹中氏は結果的に『新潮』に記事を書いたことが原因で『文春』に居られなくなったわけですが、それ以前から編集部内では『金遣いが荒い』と鼻つまみ者でした。特派記者は通常1千万円程度の予算が付きますが、竹中氏はそれをはるかに超える金額を使っていた。取材熱心といえばそうなのでしょうが、『文春』はやっかい払いしたかったのかもしれません」


つづく

ニュースサイトHUNTER
2018年9月14日 08:30
http://hunter-investigate.jp/news/2018/09/post-1241.html

http://hunter-investigate.jp/news/2018/09/14/20180914_h02-01_2.jpg
9月3日に行われた佐喜真氏の政策発表で、
後ろからメモを渡す竹中明洋氏(Twitterより)