先の国会、内閣不信任案の趣旨説明で喋り続けること2時間43分。衆院最長記録を樹立した大演説が書籍化されて気をよくしたか。紅灯の巷でマイクを握る立憲民主党の枝野幸男代表(54)は、終始ご機嫌だった。

 8月も半ばを過ぎ、永田町は自民党総裁選一色だが、枝野サンは、野党仲間のお家騒動にハイテンション。

「国民民主党の代表選告示を翌日に控えた、8月21日の夜のことです」

 と、政治部デスクが語る。

「枝野代表は、番記者とのオフレコ懇談会で東京都内のカラオケ店にいました。その場で、代表選告示日に国民を離党する、柚木道義代議士についての質問が出た。彼の立憲入りの可能性を問われた枝野代表は、間髪入れずに“そんなの受け入れるわけないだろ”と、斬り捨てたんです」

 続けて、次のような長舌を振るったという。

「あんな、党に後足で砂をかけるように出ていく人間を仲間にできるわけがない。なぜ、こんなタイミングで離党するのか。もし受け入れようものなら、国民民主党にケンカを売ることになる。向こうが抱きついて来ても拒否するけど、ケンカを売るつもりはない」

 そしてマイクを握り、柚木議員に、と手向け歌。オフコースの「さよなら」と、かねてより大ファンと公言する、AKB48の「翼はいらない」を披露した。

■言動の整合性は

立憲民主党代表の熱唱を、政治部記者が明かす。

「『翼はいらない』に、“今僕の目指す場所が思いつかない”という歌詞がありまして。これには一同爆笑でしたね」

 エダノンと呼ばれ囃された昨秋を思い出したのかもしれない。歌が終わるや、調子よく、こう切り出した。

「野党議員全員に言いたい。翼はいらない、って。みんな翼で飛ぼうとして失敗する。道を歩けばいいんです。だから、党と党の合併をして人数を増やすようなことはしたくないんだ」

 思いがこもっていそうではある。しかし、〈翼はいらない 夢があればいい 大地を踏みしめながら ゆっくり歩こう〉なんて歌詞もある。単なるパクリか。それとも、AKB48の歌で笑いをとりつつ、野党共闘への深謀遠慮を仄めかしたか。その点をご本人に訊ねたものの、

「プライベートのことですので、とくにコメントはありません」

 というのみ。だが、政治ジャーナリストの角谷浩一氏の指摘は傾聴に値する。

「沖縄県知事選の告示が9月13日に迫っているのに、枝野さんは立場を明確にできないままでした。本来ならば野党は、オール沖縄として辺野古移設反対派の玉城デニー氏でまとまり、与党と対峙すべきですよね」

 そんななか、立憲は8月末の沖縄県連設立を決めた。

「しかし、枝野さんは菅直人内閣時代の官房長官兼沖縄北方担当大臣。辺野古移設推進の立場でした。過去の言動との整合性が問われかねないので、辺野古移設反対は強く打ち出しにくい。少なくとも“翼はいらない”などと悦に入っている場合ではないはずです」

 ひょっとして、目指す場所が思いつかない?

デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/09100556/?all=1&;page=1