◆【政治】参院6増法が成立 自民、約束守らず強行
2018年7月19日 07時04分 東京新聞

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 参院選の「一票の格差」是正に向けた選挙制度改革を巡り、自民党が提出した定数六増を柱とする公職選挙法改正案は十八日の衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。今国会の会期末が二十二日に迫り、与党が採決を強行した。来夏の参院選から適用される。改正法は自民党がかつて約束した「身を切る改革」と「選挙制度の抜本的な見直し」をほごにする内容。野党は衆院の全会派が反対し「党利党略の極みだ」などと反発している。 (我那覇圭)

 参院議員定数は現行の二四二から二四八に増える。選挙区では「一票の格差」縮小のため、議員一人当たりの有権者数が最も多い埼玉選挙区の定数を二増。比例代表は掲載順に当選者を決める「拘束名簿式」を一部に導入し、定数を四増する。参院の定数増は沖縄の本土復帰に向け、一九七〇年に沖縄選挙区の新設で二増したのを除けば戦後初。

 改正法が批判されるのは、これまでの「約束」に違反することが大きい。一つは定数増。二〇一二年の党首討論で当時の野田佳彦首相、自民党の安倍晋三総裁が定数減で一致するなど、消費税増税などで国民に負担増を求める代わりに、国会議員が自分たちの「身を切る改革」を進めることを約束してきた。

 だが、来年十月に消費税率10%への引き上げが予定される中、逆に定数を増やした。参院の付帯決議では、定数増による経費増大を避けるよう求めたが、給与引き下げなど具体的な方法には触れていない。

 また、比例の定数増は「一票の格差」とは無関係。自民党も合区対象県の候補者を救済することを認め「鳥取・島根」「徳島・高知」の選挙区で公認が得られない現職を拘束名簿に掲載する方針だ。

 もう一つが合区導入を決めた一五年の法改正の付則で、一九年参院選までに「制度の抜本的な見直しについて必ず結論を得る」と明記したことの約束違反だ。

 自民党は審議で、選挙区と比例が並立する選挙制度を維持し、微修正した今回の改正を「抜本改革だ」と言い切っていたが、安倍首相は先月の党首討論で「臨時的な措置だ」と認めた。本来の目的である「一票の格差」縮小は限定的。一六年参院選で最大三・〇八倍だった選挙区の格差は二・九九倍となったが、来夏の参院選で再び三倍を超える可能性もある。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は十八日、記者団に「自民党が、自分たちが有利になるよう強行した。自民党の横暴ここに極まれり、だ」と批判した。

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