>>496
◉禁止規定
賄賂禁止規定は、次の行為を禁止している[1]。

・上場企業、国内企業、又はいかなる者であっても、
不正に、
・外国公務員(foreign official)、外国の政党(foreign political party)、もしくは、政治職の候補者(candidate for political office)に対して、
・当該外国公務員がその義務に反する行為をするよう影響を与える目的で、
又は、取引を獲得しもしくは維持するために、
・いかなる有価物であってもその支払をし、もしくはその申し出をするために、
・州際通商における手段(means or instrumentality of interatate commerce)を利用すること。

・「州際通商における手段」とは、たとえば、州をまたがっての(米国のある州と外国との間のものを含む)、
電話・テレックス・電子メール等の通信手段や電車・飛行機等の交通手段等を指す。

・また、上記のような違法な支払や申し出を実現するための行為を(a)上場企業や国内企業が米国外で行ったり
(b)上場企業でも国内企業でもない者(米国に上場していない外国企業や外国個人)が米国内で行うことも禁じられる。

直接外国公務員に賄賂を支払うことは勿論、第三者(仲介者、エージェント等)を通じて間接的に支払うことも禁じられている。
間接支払は、支払者が、賄賂が最終的に外国公務員に支払われることを知っていた場合にのみ適用されるが、
賄賂支払を想定させるようなある一定の事情がある場合にそれに目をつむって第三者に金品を支払った場合には、賄賂禁止規定違反とされる。
例えば「第三者」が外国公務員の親戚である場合や、支払い先が第三国の銀行口座である場合等がこれに該当しうる。

賄賂額が取るに足らない場合でもこの法律は適用される。当局は、賄賂の金額よりも、その目的を重要視している[2]。

賄賂禁止規定は、外国公務員への支払について 賄賂といわゆる「円滑化のための支払」(facilitation or grease payments)とを区別しており、後者は現地法上違法でなければ許されている。

主な違いは、円滑化のための支払は、外国公務員が、いずれにしても遂行しなければならない義務のある職務を、円滑に行わせるために支払われるものだという点にある。
しかしながら、賄賂と円滑化のための支払の境界線は必ずしも明確ではなく、支払を行うにあたっては、
個々の事情を勘案して弁護士などの専門家のアドバイスを得た上で行うべきだとされている。