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■ 死刑執行がエンターテイメントになった日

この日にオウム真理教の死刑囚たちの死刑が執行されることを、各テレビ局は把握していました。
なので、ワイドショーでニュースを伝えるアナウンサーたちは驚くこともなく、ただ淡々とニュースとして伝えていました。
さらに、周到に用意されたフリップやVTRでオウム真理教の事件を振り返り、リアルタイムで次々に死刑の執行が伝えられることになったのです。
すべての死刑が執行された後で「この方々が執行されました」と振り返るスタイルではなく、速報で次々と「はい、この人が死にましたー!」とやっているのです。これでは死体を晒すことはないまでも公開処刑と一緒です。
さっきまで生きていた人がリアルタイムにどんどん処刑されて速報を打たれるのです。こんなことがワイドショーの中で流される国、それが日本です。

確かに凶悪な犯罪を犯した人たちなので、憎んでいる人もいるでしょう。しかし、人の命をこんなふうにエンターテイメントにすることに正義はあるのでしょうか。

■ 死刑の執行を喜ぶネトウヨたち

麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の死刑執行がオウム真理教事件で苦しんできた人たちにとっては「喜ばしいことだ」と考えている人もいるかもしれません。
自分の家族、知人や友人が殺されたとあれば、松本智津夫死刑囚の死刑執行は今でも遅すぎるくらいかもしれません。
しかし、この事件にまったく関係していない野次馬のネトウヨたちが、この死刑執行を喜んでいる姿を見ると、「人の命」というものが、すごく軽く感じられていることに気づかされます。
13万人以上のフォロワーを持つ若手のネトウヨ論客は「安倍に脳をポアされた人たち」などと「ポア」という言葉を使って嘲笑しました。
残念ながら、このような発言をする人が人気を集めているというのが、この国の現実なのです。

あまりに酷いので、このレポートでは割愛させていただきますが、松本智津夫死刑囚の娘である松本麗華さんのTwitterに寄せられた大量のヘイトも、今のニッポンを象徴しています。
松本智津夫死刑囚が地下鉄サリン事件で逮捕された時に松本麗華さんは11歳でした。子供は生まれてくる親を選ぶことはできないし、もちろん、当時小学生だった彼女が事件に関与することなどありませんでした。
しかし、松本智津夫死刑囚の娘だというだけで投げつけられるヘイトの数々は見るに堪えません。この日本という国では「人権」が守られていないのです。