受託収賄容疑で逮捕された文科省前局長の息子を入学させる見返りに、東京医科大学は私立大支援事業の対象校に選定されるよう依頼していたが、“アベ友”疑惑が消えない「加計学園」も、医科大が依頼したのと同じ支援事業の対象に選ばれ、過去に補助金を受けていた。5日の野党合同ヒアリングで、議員らはこの問題を徹底追及。文科省が加計学園を優遇し、補助金を出していた疑惑が浮上した。

 問題の支援事業は、独自の取り組みをする大学に補助金を支給する「私立大学研究ブランディング事業」。医科大が受給する前年の2016年11月、加計系列の千葉科学大学と岡山理科大学が事業者として選定されていた。

■系列大学が2校も「倍率5倍」をクリア

 千葉科学大の事業は「『フィッシュ・ファクトリー』システムの開発及び『大学発ブランド水産種』の生産」で、岡山理科大は「恐竜研究の国際的な拠点形成」。申請した全198校のうち、選定されたのは40校。加計系列の大学が2校も、「倍率5倍」をクリアした格好だ。

選定過程は、まず教育の専門家からなる委員会が各事業を審査。点数付きでの評価を経た後、文科省の高等教育局私学助成課が再審査する。最終決定者は高等教育局長だ。ヒアリングで議員が「委員会の審査時や文科省内の再審査時に、第三者が介入する余地があるのではないか」と追及すると、文科省担当者は「恣意が入るものではないと思うが、捜査中でありコメントを控える」と逃げの一手だった。

 さらに、補助金額は年額2000万〜3000万円が相場とされるが、千葉科学大は1年目に3750万円、岡山理科大は4200万円だったことが発覚。医科大が受けた3500万円を上回る金額に、議員からは「やっぱり加計優遇じゃないのか」と疑問の声が上がっていた。

「文科省は昨年、選定に際し第三者が介入する余地はないと説明していましたが、今回の事件で疑惑は深まった。選定過程に文科官僚が介入する余地があったことが証明された格好です。政官界関係者の間では、安倍首相と加計理事長の関係の深さは周知の事実。文科省が忖度して加計系列の大学を選んだのではないか。そう疑われてもしかたありません」(ヒアリングに参加した国民民主党・山井和則衆院議員)

 加計学園は4日、愛媛県庁記者クラブに「今後、記者会見は行わない」との文書を送ったばかりだが、説明しなければ疑惑は深まる一方だ。

日刊ゲンダイ
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