国会のアディショナルタイムも残りわずか。延長国会は22日までだが、21日は土曜日だから、20日(金)が実質的な会期末だ。ところが、残り16日間のうち、安倍首相は8日間に及ぶ外遊で半分も日本を不在にするという。

 安倍首相は2日の政府・与党連絡会議で、11〜18日にベルギー、フランス、サウジアラビア、エジプトの4カ国を訪問すると明らかにした。どれも、いま行く必要のない外遊ばかりだ。

「6月中に国会を閉じる予定だったので、完全に夏休み気分の外遊日程を組んでいた。EUの本部があるベルギーでは、一応、日EU経済連携協定に署名することになっていますが、訪欧のメインイベントはパリで毎年7月14日に開催されるフランス革命式典を見物すること。総理は恒例の軍事パレードを楽しみにしているそうです。日本文化博覧会の開会式にも参加します。中東でも特に重要な会談や喫緊の課題があるわけではなく、財界人を引き連れた物見遊山みたいなものです」(官邸関係者)

サウジアラビア、エジプトには、日本の民間企業関係者らの経済ミッションが同行する。当初はイランも訪問する予定だったが、米国のトランプ大統領に忖度して、今回は見送ったという。

■不在中に強行採決、不信任封じ

 安倍自民党は、この長期外遊をトコトン利用するつもりだ。安倍首相の不在中に国民の多くが反対しているIR関連法案や、参院の議席を増やす選挙制度改革、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案などを強行採決しても、野党は抗戦手段が限られる。会期内に1度しか使えない内閣不信任案を首相不在時に出すわけにいかず、安倍首相が出席する集中審議も開けない。

「官邸サイドが国会延長を22日までと決めた背景に、外遊日程を念頭に入れた“不信任封じ”のスケジュールがあったことは想像に難くありません。首相の不在中に強行採決を連発して積み残し法案を処理し、帰国後の19日に不信任案を出しても、野党の抵抗は時間切れということになりそうです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 与野党の攻防が激しくなる会期末直前に首相がお遊びの長期旅行で不在なんて、常識では考えられないが、これも安倍首相が国会を軽んじていることの表れだ。

日刊ゲンダイ
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