安倍晋三首相は二十六日の参院厚生労働委員会で、「働き方」関連法案に含まれる「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」について「適用を望む企業や従業員が多いから導入するものではない」と述べ、制度創設の理由は労働者ニーズとは関係ないとの考えを示した。

 高プロは高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す制度。国民民主党の浜口誠氏が「働く人は本当に望んでいるのか」と質問したのに対し、首相は「多様で柔軟な働き方の選択肢として整備する。望まない方には適用されないので、このような方には影響ない」と述べた。浜口氏は「長時間労働や過労死につながる不安は全く払拭(ふっしょく)できていない」と批判し、法案から削除するよう求めた。

 高プロが労働時間に与える影響について、首相は「時短を目的とするものではない」と述べ、高プロで労働時間が短縮されるわけではないとの考えを示した。

 高プロに関する労働者のニーズを巡っては、参院の審議で厚労省が聞き取りを行ったのは十二人のみで、このうち十一人は高プロ創設を含む労働基準法改正案を二〇一五年四月に国会提出した後だったことが判明している。同法案は野党の反対で審議入りできず、衆院解散で二〇一七年九月に廃案となった。 (木谷孝洋)

東京新聞
2018年6月27日 朝刊
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