◆昭恵氏付職員が「優遇」依頼 辰巳氏、新文書示し告発
2018年6月19日(火) 赤旗

■「賃料引き下げを適用できないか」

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は18日の参院決算委員会で、学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる国土交通省大阪航空局作成の内部文書を暴露しました。安倍晋三首相の妻、昭恵氏付の職員だった谷査恵子氏から財務省への照会の内容が、すでに公表されている交渉記録よりも具体的に書かれており、「優遇」の依頼だったことを示しています。

■名誉校長も注記

 文書は、2015年11月12日に大阪航空局が財務省近畿財務局に、谷氏から財務省の田村嘉啓国有財産審理室長(当時)への照会の内容を聞き取った際のもの。

 「近畿財務局からの情報提供」と題して、照会内容について「新聞報道であった介護施設に対する賃料引き下げの優遇措置を小学校にも適用出来ないのか」「貸付料の減免、土壌汚染対策工事中の免除等はできないのか」と記述。末尾には「安倍総理夫人は、森友学園が開校を計画している『瑞穂の國記念小學院』の名誉校長に就任」と記されています。

 谷氏の照会をめぐっては、財務省が5月末に公表した交渉記録に、「(学園から)優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた」と記載。安倍首相は「制度に関する問い合わせだ」と強弁しています。

■戦後史初の暴挙

 辰巳氏は、内部文書によれば、田村室長が谷氏に回答した当日に大阪航空局まで情報が共有されたと指摘。「問い合わせは単なる制度の照会ではない。賃料値下げの要望だ」と追及。石井啓一国交相は「質問通告がなく、手元に資料がない」と述べるだけで認識を示しませんでした。

 辰巳氏は、「森友問題をめぐる決裁文書改ざん、交渉記録廃棄・隠ぺい、虚偽答弁は、国権の最高機関である国会と国民を1年以上も欺く、戦後史で初めての暴挙だ」と強調。「どの世論調査でも“納得していない”“解決していない”が8割に上るのは、なぜか」とただしました。

 安倍首相は再発防止をうたうものの、質問には答えませんでした。

■隠ぺいまだある

 辰巳氏は質疑後の記者会見で、同文書と、省庁間のやりとりの公表をめぐって財務、国交両省ですり合わせたメモを公表。「両省が隠している文書がまだあることを示している」と指摘しました。

 特に、取引への昭恵氏の関与をめぐり焦点になっている14年4月28日や、国有地大幅値引きの根拠とされた地中ゴミをめぐる「口裏合わせ」が指摘されている16年3月30日、同4月5日の交渉記録の欠落と、財務省と国交省間のやりとりが未公表であることを強調。これらが明らかになれば、国有地の不当な大幅値引きの理由と、決裁文書改ざんの指示系統や動機が解明できると力を込めました。

 さらに、財務、国交両省間のすり合わせメモには「不当値引きの理由について真実を明らかにする気がなく、隠ぺいを続ける安倍政権の意思が如実に表れている」と批判しました。

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