今ごろ何をしているのか。今年3月に佐川宣寿前国税庁長官が辞任してから3カ月。財務省は今月4日に発表した「決裁文書に関する調査報告書」で、佐川氏を停職3カ月相当とし、退職金4999万円から513万円を差し引くことを決めた。

 政府はこの処分で幕引きを図っているが、冗談じゃない。佐川氏がなぜ「記録を廃棄した」と虚偽答弁を繰り返したのか、そもそも改ざんの動機は何か――明らかになっていない問題は山ほどある。

 いったい、本人は何をしているのか。証人喚問に再び応じるつもりはあるのか。それを確かめるべく東京・世田谷区の豪邸を訪れると、外から見えるカーテンは閉め切られ、ヒッソリとした様子。インターホンを鳴らしても、家の中から犬が吠える声が聞こえるだけだ。

 辞任前にも自宅を訪れたが、その時と様子が異なるのは、監視カメラが玄関前に通じる入り口の上に設置され、駐車スペースには「立入禁止」「私有地」と書かれた看板が2つ置かれていたこと。

自宅前や訪れる人を警戒しているらしく、近隣の住民さえ「辞任した後に(佐川氏を)見たことがない」「(佐川氏が)住んでいるのかすら分からない」と首をかしげた。家の前に人通りは少なく、自転車に乗った小学生2人が「ここチョーカンの家だ!」と叫んで走り去った。

 佐川氏も豪邸も、ダンマリを決め込むのか。 

(本紙・高月太樹)

日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/230993/1