https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180425/soc1804250004-n1.html

 立憲民主党や希望の党など野党6党は23日も、与党が麻生太郎副総理兼財務相の辞任要求に応じないことなどに反発し、国会審議を欠席した。ただ、財務省の担当者を呼んで野党合同ヒアリングは開催した。最近、頻繁に開催される合同ヒアリングへの疑問について、ジャーナリストの安積明子氏が寄稿した。

 本当に不憫(ふびん)で仕方がない。森友・加計学園問題や、財務省の福田淳一事務次官(58)のセクハラ発言疑惑について、各省庁から説明のために野党6党のヒアリングにやってくる官僚たちだ。

 局次長から係長まで、そのポストはさまざまだが、各分野でトップクラスの能力を持つ人々だ。

 そんな官僚らを大声で怒鳴り、罵(ののし)る野党の議員たち。まるで大きな声を出せば、何らかのお宝が出てくるかのようにやるからたまらない。官僚らは、すっかり萎縮している。

 一例が、内閣府地方創生推進事務局のA参事官だ。加計問題が発覚した昨年から、当時の民進党のヒアリングに来ていた。そこでA氏はまず、同党のB参院議員の強烈な洗礼を受ける。

 「どうして、そんなこと言うんだよ!」

 「誰がそんなことしろって、言ったんだよ!」

 毎回、すさまじい雷を落とされ、A氏はそのうちにヒアリングに来ても、目を伏せたままとなった。何を言われても、怒鳴られても、まるで全く耳に入っていないような様子になった。そして、B氏以外の議員が比較的穏やかに質問したときだけ、チラリと少しだけ視線を上げていた。

 福田氏のセクハラ疑惑では、C参事官がそうした洗礼を受けた。

 C氏は国際局や金融庁監督局など、国際金融畑勤務歴が長いが、このような「尻拭い」の仕事は初めてなのだろう。慣れない様子で、あらかじめ準備したペーパーを読んで報告した。

 そして、C氏が「福田は(週刊新潮が公開したテープの声は)『自分の声ではない』と言っている」と省内ヒアリングの結果を報告すると、間髪入れず「ウソだ!」「そんなことはない!」などと激しい抗議の声の雨あられ。絶句したC氏が思わず目をつぶり、息をのむシーンも見られた。

 中国・文革期、熱狂した紅衛兵が、官僚や知識人らをつるし上げた。きっと、このような情景だったのではないか。

 社民党の福島瑞穂参院議員は17日のヒアリング終了後、「私たちは別にCさんを責めているわけじゃないのよ」と語った。だが、耳たぶを真っ赤にしながら野党議員の罵声に耐えている官僚らを見る限り、つるし上げて、イジメているとしか思えない。

 人権無視の合同ヒアリングは止めた方がいい。