米国がシリアへ軍事攻撃を行ったと報じられた2018年4月14日。
日本では、「安倍政権は退陣を!あたりまえの政治を市民の手で!0414国会前大行動」というデモが、国会議事堂前で行われた。

野党幹部も多数参加したこのデモ、はたして現場はどんなことになっているのか。
「世論」は果たして、どこまで盛り上がっているのか――国会前を訪ねた記者が、その「前半戦」の模様をレポートする。

■「シュールすぎるぜ安倍政権」と歌うグループの前を通り過ぎていく人々

14日13時半ごろ、東京メトロ永田町駅に降りると、そこにはすでにたくさんの人が「アベ政治を許さない」などと書かれたうちわを手に、駅のエスカレーターを上がっていた。
改札前にも配布用のポスターを準備していると思しき男性が座っていたりと、14時のデモ開始前からすでに人が集まっていた。
ただ、多くの人が60歳を超えた世代で、若者は少ないように見受けられた。

少しずつ国会議事堂へ近づいていくと、人だかりができ始める。
途中、音楽に乗せて、
「贈・収・賄 確定!」
「シュールすぎるぜ安倍政権」
などと歌うグループがいたものの、その前を通行人、参加者ともに一瞥もくれずに通り過ぎていく風景が印象的だった。

国会議事堂の前の通りに入ると、報道陣含めて多くの人がすでに集まっている。
周辺の歩道は、ちょっとした満員電車並みの状況で、主催者のツイートによれば参加者は3万人以上だという。
ただ記者がいた時間帯は、過去に大人数のデモが行われたときのように、車道が解放された状況にはなかった(15時過ぎからは車道にも参加者があふれた)。

14時になると、司会の人が音頭を取り、デモ活動がスタート。
まもなく、国会議員が喋り始め、立憲民主党の長妻昭氏や社会民主党の又市征治党首が登壇し、安倍政権に関する批判を展開した。
そんな中で盛り上がりを見せたのが、日本共産党の志位委員長のスピーチだった。

■「安倍首相が『ない』と言うものは、大体あるんですよ!この国は!」

志位委員長の登壇が告げられると、会場からは拍手があがり、一部の人は「和夫!和夫!」と名前を呼ぶなど、ひときわ盛り上がりを見せる。
志位委員長は森友学園や加計学園の問題について言及。

安倍晋三首相の妻・昭恵夫人の森友学園への関与が明白だとし、国会での説明を求めた。
加計学園に関する問題については、愛媛県での文書に正当性が「限りなく高い」と述べ、安倍首相の「関与していない」などといった言明には誤りがあるとしたうえで、「出すべき膿は首相自身」と強い口調で批判。

その後、志位委員長は一言、
「安倍首相が『ない』と言うものは、大体あるんですよ!この国は!」
と発言すると、デモ会場では笑いが起きた。

ほか、賛同者からは「そうだー!」といった声が上がった。
最後、安倍政権を倒すことで、「嘘のない」「正直な」政治を目指すとし、「日本の民主主義を取り戻していこうではありませんか」と呼びかけて話を終え、盛大な拍手に包まれた。

最後に話したのは社会民主党の又市征治幹事長。
森友学園をめぐる文書の改ざんや、情報の隠ぺい、国会での答弁の整合性が取れていない点、憲法改正などについて、批判的に言及した。

デモ参加者の中には「このままでは日本は崩壊する」などと将来を案ずる声を上げている人も。
また、デモそのものがコミュニティのようになっているのか、国会議員のスピーチ中にお互いに挨拶をして世間話をしている様子も見られた。

その後、デモは17時まで行われ、ツイッターでは「#国会前大行動」がトレンド入りするなどの反響があった。
なお、同じ14日、米国ではトレンドに「WWIII(第3次世界大戦)」がランクインしている。

https://www.j-cast.com/2018/04/14326179.html