https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180415-00000013-sasahi-pol

 安倍晋三総理の元秘書官、柳瀬唯夫経済産業審議官が加計学園疑惑で時の人となっている。

(略)

 今回、愛媛県のメモで会談事実はほとんど否定しようがなくなった。この段階に至っても、柳瀬氏は従来のコメントを維持している。ここまで見え透いた嘘をつくのか、と驚く方も多いと思うが、現在の彼の立場は、最初の判断をした時と基本的に同じだ。7月には、経産省の人事がある。嶋田現次官が勇退するか留任するかはわからないが、いずれの場合でも、柳瀬氏が安倍総理を裏切って、真実を話せば、おそらく次官にはなれないままこの夏で勇退ということになるであろう。しかも、天下りはなし、あるいは、あっても惨めなところになる可能性がある。さらには、前川文科省前次官のように退職後もいろいろな嫌がらせを受けるかもしれない。安倍総理の残虐性、執拗性は、近くにいる者ほど強く感じるはずだ。そのリスクを考えると、彼としては、今も、「記憶にない」という言葉で逃げるというのが、唯一の選択肢ということなのではないだろうか。

 では、今後の展開はどうなるのか。柳瀬氏については、最終的には証人喚問が実施される可能性は高い。愛媛県については職員または知事の参考人招致は避けられないだろう。そうなると、仮に柳瀬氏が「記憶にない」と証言しても、愛媛県側が生々しいやり取りを具体的に証言すれば、世論は、柳瀬氏が嘘をついているという印象を持つだろう。

 それで、仮に世論が盛り上がり、支持率がさらに下がるということになれば、安倍総理が、このままでは逃げ切れないと考えるかもしれない。そうなると、「俺は何も言っていないのに、柳瀬氏が、勝手に俺の意向を忖度して暴走した。ひどい奴だ。自分はまったく知らなかった。」というストーリーを作るかもしれない。森友事件で、財務省の佐川氏と理財局に全責任を負わせたのと同じやり方だ。

 その後は、柳瀬氏についての個人的な誹謗中傷のような情報が流れるだろう。現在、佐川氏がパワハラで有名だったというような情報がネットや週刊誌などで流れているように。

 柳瀬氏には、佐川氏の前例を参考にできるという利点がある。また、断定口調で言いきってきた佐川氏と違って、「記憶の限りでは」という留保条件を付けて自分の身を守る冷静さも持ち合わせている。その違いが、最後の段階で、「真実を話す」という、佐川氏とは異なる判断を導くかもしれない。その時、安倍政権は終わりだ。

 柳瀬氏には、是非とも、佐川氏の教訓を生かし、最後の最後で、国民のために働く官僚としての良心に従ってもらいたい。「第二の佐川」にならないためにも。