ラモスと日の丸

「日の丸――。最高だ。こんなに美しい国旗、他にないよ。どんなに苦しくても、膝が痛くても、
日の丸をつけていると思うと頑張れる。ほんと不思議。これまで何度もそんなことあったね。
ユニフォームの日の丸。スタンドで揺れる日の丸。日の丸が目に入ると、こんなところで諦めて
いいのかって、また闘志が湧いてくるんだ。

「日の丸をつけて、君が代を聞く。最高だ。武者震いがするもの。体中にパワーがみなぎってくる。
でも、日本の選手の中にはそうじゃないヤツもいる。不思議でしょうがないよ。日の丸をつけるって、
国を代表するってことだよ。選ばれた選手にしか与えられないものじゃない。国を代表して戦うって
スゴイことなんだよ。それを忘れているんじゃないかって思う。」

「ワールドカップを見てみろよ。みんなあんなに必死になって戦うのは、国の代表だからだろ。
国を愛し、家族を愛し、仲間を愛しているからだろ。日本はそこんとこから外国に負けてる。
自分のためだって?そんなの当たり前じゃない。じゃあなぜ、もっと大きいものを背負わないの?

「オレ、日の丸背負ってなかったら、あんなに頑張れなかったよ。ドーハの時、オレは三八歳。
あのクソ暑い中で、そんなオジサンが全試合、それもほとんどフル出場。練習だって若いヤツらと
同じメニューをこなしてたんだ。自分のためだけだったら、とっくに辞めてたよ。」