都の工事図面の“改ざん”疑惑が浮上した。
日刊ゲンダイは、都が土壌汚染対策工事に着工する直前の2011年6月に作成された
「地下遮水壁に関する工事図面」を入手。遮水壁とは、敷地内の汚染地下水が外に漏出しないように地中に埋設する壁のことだ。
図面には、青果棟と仲卸売場棟、卸売場棟が立つ各街区の河川に面する「護岸側」の遮水壁の高さが、
都の基準海水面(AP)からプラス4メートルであることが記されている。
地表面はAP+6.5メートルだから、護岸側遮水壁は地表面に達していないということだ。
ところが、昨年4月27日に開催された都の「市場のあり方戦略本部」
第2回会合で示された市場敷地の断面図では、護岸側遮水壁はちゃんと地表面に達している。
つまり、図面では遮水壁が地表面まで届いていないのに、
都が示した断面図では地表面に届いているかのように描かれているというわけだ。この齟齬(そご)は“改ざん”ではないのか。
都に問い合わせると、「5、7街区は指摘の通り、護岸側の遮水壁の高さはAP+4メートルですが、
6街区はAP+5.5メートルとなっている」(新市場整備部基盤調整担当課)と返答。
護岸側の遮水壁が地表面に達していないことを認めたが、
「あり方――」の断面図との齟齬については「確認中」(同)と明言を避けた。
都は16年10月から敷地内の地下水位をホームページで公表。
当初、全21カ所の観測地点のうち、11カ所で地下水位がAP+4メートルを超えていた。
今月4日には、地下水から環境基準値の最大130倍のベンゼンが検出されたばかりだ。
汚染地下水は護岸側の遮水壁を越え、周辺の河川に漏出し続けていた可能性がある。
この問題を追及する建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。
「豊洲は埋め立て地であるため大雨で地下水が上昇しやすい環境にあります。
遮水壁で囲むとバケツにたまった水があふれるように、最悪、地表面に地下水が漏れ出す恐れがあった。
だから、地下水が外に逃げられるように護岸側遮水壁を低く設計せざるを得なかったのでしょう。
しかし、それでは環境アセスなどが求める『周辺への汚染拡散防止』という前提条件が崩れる可能性がある。
都は苦肉の策で『あり方――』の資料を書き換えたのではないか。そう疑われても仕方がありません」
問題を把握していようがいまいが、小池都知事には真摯な対応が求められる。
画像:本紙入手の図面(左)では遮水壁が地表に達していないが、都公表の資料(右)では達している/
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日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226866/1