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 文部科学省が前川喜平・前事務次官の授業について名古屋市教委に報告を求めた問題が発覚して5日。事前に政治家の照会があったことを隠し続けてきた文科省がようやく認め、議員の添削を受けていたことも公表した。しかし「あくまでも省の判断」だったと強調する林芳正文科相の姿勢に、省内からも「照会の影響がなかったとは言えない」との声が上がり、野党は一斉に反発した。【伊澤拓也、真野敏幸】

 「議員から問い合わせがあったことは事実です」

 20日朝の閣議後の記者会見。毎日新聞の報道を受けて問われた林氏は、自民党文科部会長である赤池誠章参院議員、部会長代理の池田佳隆衆院議員の名前を挙げて照会の事実を認めた。市教委に質問を送る前に池田氏に見せ「池田氏のコメントに基づいて質問内容を2カ所修正した」とも説明した。一方で「議員の問い合わせがきっかけになり、議員の考えが文書に反映された。政治的介入ではないか」との質問には「省の判断であり、判断に影響を与えるものではない」と繰り返した。

 だが、文科省の中堅職員は「質問項目を議員に言われるまま修正しておいて、影響がなかったという言い逃れは苦しい」と漏らす。天下りあっせん問題、加計学園の問題と文科省は不祥事続き。この職員は「一体どうしてしまったのか。大臣は『国民の信頼回復』というがまた遠のいた」とため息をついた。

 別の職員は「与党の文科部会の議員だから無視できないのは仕方がないが、あまりに唯々諾々と受け入れすぎている印象だ。官僚の矜持(きょうじ)はどこへ行ったのかと思う」と表情を曇らせた。ある幹部は「文教族議員がこのくらいの話を持ってくるのはおかしな話ではない。ただし、森友・加計学園問題でそんたくうんぬんと言われている時期。部会は慎重に行動してほしかった」と話した。

 他省庁の幹部は「霞が関の省庁でも文科省は族議員の影響を受けやすい。今回のような問題があっても驚かない」と突き放した。

 野党は安倍政権と自民党への批判を強めている。立憲民主党の辻元清美国対委員長は記者団に「看過できない」と指摘し「森友学園問題や今回の問題をみていると結局、自民党の体質ではないか」と述べた。

 希望の党の玉木雄一郎代表は記者会見で「政治の不当な介入を防ぐのが教育基本法の趣旨だが、教育の独立性を侵すことを自民党議員はしており、民主主義国家においてはゆゆしき問題だ」と懸念。「教育現場や前川氏の活動への萎縮効果も狙っており、教育の公平公正な執行と教育内容をゆがめる。断じて許されない」と指摘した。