毎日新聞2018年3月17日 11時09分
https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00e/040/290000c

【ニューヨーク國枝すみれ】自身への性暴力被害を告発したジャーナリスト、伊藤詩織さん(28)が16日、国連本部で記者会見した。日本では、性被害を告発した女性に対する反発が「過酷だ」と主張。米ハリウッドから始まったセクハラ撲滅運動「MeToo(私も被害者)」の代わりに、「WeToo(私たちも行動する)」運動を提唱した。

伊藤さんによれば、「MeToo」は日本で大きな運動に発展していない。社会の反発を恐れる被害女性が経験を共有することを尻込みするためだ。伊藤さん自身、告発後、インターネット上などで激しい中傷や脅迫を受けた。自宅に戻れなくなり、人権団体の助けで昨秋からロンドンに移住した。

 「運動の目的は誰かを責めることではなく、未来を変えること」と考える伊藤さんは、より多くの人が運動に参加しやすいように「WeToo」と呼ぶことを提唱したという。

 記者会見に同席した人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子弁護士は、告発女性に対する反発は「もう一度レイプするようなもの」と強く批判。また、2016年に成立したヘイトスピーチ対策法は「インターネット上での女性に対する差別的、暴力的な発言を禁じていない」として、「法の不備」を指摘した。