https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180313-00000082-mai-pol

 ◇竹下亘総務会長「行政の信頼揺らぐ」

 財務省の文書改ざん問題を巡り、自民党は13日、政府を突き上げる姿勢を強めた。党本部で開かれた総務会では政府批判の声が相次ぎ、竹下亘総務会長は記者会見で「菅義偉官房長官に『徹底的に真相を究明しなさい、という本当に強い話が出た』と報告する」と表明した。自民党は25日の党大会での憲法改正条文案の提示を見送る調整に入った。改ざん問題は安倍政権の政治日程にも影響を与え始め、首相批判が広がりかねない空気が漂い始めた。

【公表された決裁文書を見る】「安倍昭恵総理夫人」の文字、白紙に

 約30分の総務会は、改ざん問題一色になった。旧大蔵省出身の野田毅元建設相は「今回のことは、いち財務省の局長や内部だけで済まされることではない。きちんと対応しないと大変なことになる」と指摘。村上誠一郎元行政改革担当相もリクルート事件などが原因で総辞職した竹下氏の兄・登元首相の例を念頭に「そろそろ大所高所の判断をすべき時期に来ている」と首相の退陣を暗に要求。村上氏はその後、記者団に「(防衛省の)日報問題、加計問題、森友問題、全部安倍さんの周りのお友達が原因で起きている。原因は安倍さんだ」と強調した。

 総務会では首相と距離のある両氏以外の総務からも「別の文書で国会は議論を続けてきた。国会の権威に関わる問題だ」などの発言が続出。竹下氏はその後の会見で「行政に対する信頼は根底から揺らぐという危機感を持った」と強調。「国会に対して(財務省が)うそをついたということだから、国会もものすごく厳しく対応しなきゃならん」と述べた。

 副幹事長会議でも、小泉進次郎筆頭副幹事長が「問題は相当深刻で質が違う。このまま『くさいものにふた』でいいのか」と強調。政権内の自浄作用を世論に印象付け、党勢低落を抑制しようと躍起だ。

 また、竹下氏は会見で、自民党憲法改正推進本部の細田博之本部長から「条文案まで決めるのは難しいが、大きな方向性を総務会でもんでほしい」と要請されたことを明らかにし、党大会で示すのは「方向性」にとどまるとの見通しを示した。推進本部は当初、党大会までに自衛隊明記など4項目の条文案策定を終える方針だったが、党と政府が激しく対峙(たいじ)する中、条文案の策定を急げば「拙速に議論を進めていると見られかねない」(政府関係者)との見方が広がり、事実上先送りとなる見通しだ。【高橋克哉、水脇友輔】