2018年3月13日20時02分
https://www.asahi.com/articles/ASL3F5VT2L3FUTIL03V.html

 森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書が改ざんされた問題で、国土交通省が省内に保管していた改ざん前の文書のコピーを5日の時点で財務省に渡していたことがわかった。財務省は8日、「現在、近畿財務局にあるコピーはこれが全て」として改ざん後の文書を国会に開示したが、少なくともそのときに内容が異なる文書を本省として正式に保有していたことになる。

石井啓一国交相が13日の閣議後会見で明らかにした。国有地は国交省の所有のため、交渉を担った財務省から契約直後に関連の決裁文書を渡されていた。国交省は、文書の書き換え疑惑を朝日新聞が報じた2日、省内に保管していたこの決裁文書を確認し、国会議員に開示されていた文書と比較した。

 その結果、「貸付決議書」についている「調書」の内容に差異があることを把握。5日、保管していた文書のコピーを財務省に渡し、内容が違っていることを伝えたという。

 しかし財務省は8日にも国会に対し、改ざん後の「貸付決議書」を提出。参院予算委理事会で財務省の富山一成理財局次長は、他に文書があるかについて「調査を継続中」と明言を避けた。麻生太郎財務相は12日、自身が書き換えを知ったのは「3月11日」と述べていた。

 一方、財務省と国交省から内容の異なる「貸付決議書」を受け取っていた会計検査院に対し、財務省が調査時に「財務省提出が最終版。国交省のものはドラフト(下書き)版」と説明していたこともわかった。検査院が13日の野党ヒアリングで明らかにした。富山理財局次長は「推測だが、最終版と答えたのは書き換えに関わっていた者ではないか」と述べた。