東京新聞 2018年3月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031302000144.html

 決裁文書改ざんは議会制民主主義を脅かす背信行為だが、全容解明には程遠い。国民を欺いたのは誰だ。
安倍政権と国会が負う解明の責任は重い。

 あまりにも広範にわたる公文書の改ざんに驚きを禁じ得ない。

 学校法人「森友学園」への格安での国有地売却問題。決裁文書の改ざんを、財務省が認めた。

 同省が国会に提出した調査結果によると、昨年二月下旬から四月にかけて五つの決裁文書が改ざんされ、
その内容を反映する形でさらに九文書も改ざんされていた。その数は計十四に上る。

◆首相夫妻の記述を削除

 昨年二月下旬といえば、森友学園への国有地売却が国会で問題視された直後だ。なぜ、八億円もの値引きに至ったのか、
政治家らの関与があったのか、直接の関与はなかったとしても、官僚らによる忖度(そんたく)はなかったのか。
これらは、この問題の本質である。

 調査結果を見ると、安倍晋三首相夫妻や、首相の政治信条に近い政治家らとの関わりを消し去り、
通常の取引であることを強調しようとする狙いが読み取れる。

 例えば二〇一五年四月三十日に決裁された文書の一部である「森友学園の概要等」では、学園理事長が関与する
保守系団体と連携する議員懇談会で安倍氏が副会長、麻生太郎財務相が特別顧問に就いていることや、
首相夫人の昭恵氏が森友学園を訪問したことなどが削除されていた。

 また同年二月四日に決裁された文書の一部である「これまでの経緯」では、打ち合わせの際、
学園側から「(首相)夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」
と発言があったことや、複数の政治家側から土地賃料の引き下げを促す問い合わせがあったことを示す記述が
すべて削除されていた。


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