毎日新聞2018年3月12日 22時05分
https://mainichi.jp/articles/20180313/k00/00m/010/143000c

改ざんは14件の決裁文書 国会答弁と整合性図る
 財務省は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書で、改ざんがあったと国会に報告した。関連文書14件で数十カ所が改ざんされていた。改ざん前の文書には、安倍晋三首相の妻昭恵氏に関する森友学園の籠池泰典前理事長の発言として、「(昭恵)夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた」との記述があったが、改ざん後には削除されていた。麻生太郎財務相は「ゆゆしき問題で誠に遺憾。深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 財務省の調査によると、改ざんは財務省理財局の主導で行われ、決裁文書を国会に提出した当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の国会答弁に合わせるために行われた。

 改ざんがあったのは2014年から16年に近畿財務局が作成した、国有地貸し付け契約や売却契約など計14件の決裁文書。昨年2〜4月に理財局の一部職員によって改ざんが行われた。森友への国有地売却で大幅な値引きが問題となり、佐川氏らが国会答弁に立っていた時期だった。麻生氏は「佐川の国会答弁に合わせて書き換えたのが事実だ」と言明。文書は改ざんされたものであるとの認識を示したうえで「最終責任者は(当時の)理財局長である佐川だ」と話した。しかし、麻生氏は自身の責任は否定し、辞任しない意向を示した。

 財務省が示した改ざん前の文書では「(学園から)要請を受けて、価格などについて協議した結果、学園が買い受けることで合意した」と事前の価格交渉を示唆する記述があった。また、国有地を10年間貸し付けた後に売り払う契約になっていたことについて「特例的な内容」としたうえで、「理財局長の承認を得て処理を行う」と理財局の関与をうかがわせる記述もあった。だが、改ざん後の文書ではそれらの記述は削除されていた。

 さらに、売却を巡る経緯のなかで、昭恵氏のほか鴻池祥肇・元防災担当相、平沼赳夫・元経済産業相、北川イッセイ元参院議員ら政治家に関する記述もあったが、それらも削除されていた。

 財務省は、改ざんが具体的にどのように行われたかや、職員らの関与度合いなどについて引き続き調査する。佐川氏は今月9日、調査結果を待たずに「国会審議を混乱させた」ことなどを理由に、国税庁長官を辞職。麻生氏は佐川氏に対して、減給の懲戒処分を下したが、大阪地検による捜査結果などを踏まえて、追加処分を行う方針を示している。