2018年3月12日 13時57分 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018031290135735.html

 財務省は十二日、学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁など十四点の文書で書き換えがあったことを認める内容を与党幹部に報告した。国会にもこれまでの調査の全容を報告する。書き換え前の文書には学園との交渉経緯や「特殊性」という文言のほか、安倍晋三首相の妻、昭恵氏の名前や鴻池祥肇(こうのいけよしただ)元防災担当相ら政治家の名前もあった。麻生太郎財務相など安倍政権中枢の責任を問う声が国会で高まるのは確実で、安倍政権の運営にとって打撃となる。

 自民党幹部によると書き換えが判明したのは、財務省の近畿財務局と森友側が二〇一六年六月に売買契約を結ぶ際の決裁文書や添付された関連調書など十四点。この問題が発覚した昨年二月以降、「特殊性」や「価格などについて協議した結果」などの文言が削除された。

 削除された政治家の名前は鴻池氏や平沼赳夫元経済産業相ら。

 昭恵氏については自民党幹部は「昭恵氏の名前は、森友学園の籠池泰典前理事長の発言の中にあった」と話している。昭恵氏は森友学園の小学校の名誉校長を承諾、昭恵氏付きの政府職員が二〇一五年秋、財務省にこの国有地に関し問い合わせしていたことがこれまでに分かっている。首相は「私や妻が関係していたら首相も国会議員も辞める」と国会で答弁している。

 書き換えの指示は財務省は「本省の理財局が指示した」と説明したが、だれが指示したかや、書き換えの理由は「調査中」としている。

 財務省は書き換えに関わった職員らの懲戒処分を検討する。森友問題では大阪地検が背任容疑や公文書毀棄(きき)容疑などの告発を受理し、捜査している。

 麻生氏の進退論について菅義偉(すがよしひで)官房長官は十二日午前の記者会見で、「財務省の調査の指揮を執るべきだ」と否定した。

 決裁文書の書き換え問題は今月二日、朝日新聞が報道で指摘して浮上。財務省は事実解明に消極的だったが、九日に森友との交渉を担当してきた近畿財務局の職員が自殺していたことが発覚。書き換えが行われた当時、理財局長として責任者だった佐川宣寿(のぶひさ)氏は「本件は適切に処理した」と国会で説明してきたが、今月九日に国税庁長官を辞任している。