学校法人「森友学園」への国有地売却問題に財務省理財局長として関わった佐川宣寿氏の国税庁長官辞任を受け、国会での攻防の焦点は麻生太郎副総理兼財務相の責任問題に移りそうだ。政府・与党が安倍政権の「屋台骨」である麻生氏への波及を食い止めたい考えなのに対し、野党は任命責任を厳しく追及する方針だ。

 安倍晋三首相は10日、福島県葛尾村で記者団に、財務省の決裁文書書き換え疑惑について「佐川氏を含め、財務省で(書き換えの)有無を明らかにするために全力を挙げなければならない。来週早々には結果を示せるよう、麻生氏をはじめ、財務省を挙げて取り組んでもらいたい」と強調した。記者団が麻生氏の任命責任を質問したのに対し、首相は言及を避けた。
 これに関し、自民党の岸田文雄政調会長は甲府市内で記者団に「責任問題うんぬんは(疑惑の真偽を)確認しないうちに軽々に言うべきではない」と語った。
 第2次安倍内閣発足時から副総理を務める麻生氏は、菅義偉官房長官と並ぶ政権の骨格。自民党内では「辞めれば政権への打撃が大き過ぎる」(幹部)と見る向きが支配的だ。党関係者は「内閣総辞職に発展しかねず、麻生氏を切ることはあり得ない」と断言する。
 野党側は「政治家が政治的に責任を取るべき案件だ」(立憲民主党幹部)と攻勢を強めている。麻生氏は昨年7月、国有地売却問題で矢面に立っていた佐川氏を国税庁長官に昇格させ、野党の更迭要求も「適材適所」として退けており、任命責任を問われることは免れないとの見方が与党内にもある。財務省が12日に与野党に報告する書き換え疑惑の調査結果次第では、野党が監督責任を問うのは必至だ。(2018/03/10-18:55)

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