2018年2月2日18:20 バザップ
http://buzzap.jp/news/20180202-engels-law-wikipedia/

大きな話題となっているエンゲル係数ですが、Wikipediaが首相答弁の翌日に改ざんされていたことが明らかになりました。詳細は以下から。

◆「エンゲル係数」答弁翌日のWikipedia改ざん
BUZZAP!でも2月1日に「エンゲル係数が上昇しても景気回復、安倍首相が斬新すぎる新解釈を披露」と題して1月31日の首相答弁について取り上げました。

この国会答弁では高校生でも知っているエンゲル係数が29年ぶりの高水準となっていることが取り上げられましたが、その答弁の翌日である2月1日にWikipediaの「エンゲル係数」の項目が大幅に書き換えられていたことがツイッターユーザーのHOM55(@HON5437)さんのツイートによって明らかになりました。
https://twitter.com/HON5437/status/958917363910377472

◆小説を出典としたあまりに稚拙な文章とその影響
改ざんが行われたのはWikipediaの変更履歴によると2018年2月1日 (木) 01:24。これはグリニッジ標準時であるため、日本時間では9時間足して2018年2月1日 (木) 10:24ということになります。なお、現在は既に改ざんは破棄され、編集がロックされています。改ざん以前の記述はこちら。
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AB%E4%BF%82%E6%95%B0&;oldid=65817812

そして改ざん後の記述はこちら。大幅に書き換えられている事が分かります。
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AB%E4%BF%82%E6%95%B0&;oldid=67193432

その文中には「重要度が下がっている」「以前ほど重要視されてはいない」「必ずしも役だたなくなった」など、これでもかとエンゲル係数の重要度を毀損するような記述が盛り込まれています。

段落分けもできておらず、要旨をまとめることもせずにだらだらと書き連ねている上に句読点すら打ち間違いの見られる極めて雑な文章である事が一読して分かります。

ではいったいこの与太話の根拠はなんなのかというと、出典として示されているのが「『貯金兄弟』p232竹内謙礼, ?青木寿幸、 2015年』」という「マネー戦略SFノベル」を謳う小説。

古典的な経済論文に対して小説の記述を引用して反論できると思っている辺りはあまりに幼稚すぎ、単なる愉快犯かと思ってしまいそうなところです。当然ながらこの改ざんは即刻「小説をソースに書かれることではない」として変更は破棄されています。

既に1月31日の夜の時点からエンゲル係数に対する安倍首相の独自解釈は炎上を始めていたこともあり、この改ざんは何らかの「火消し」ではないかとの指摘が当然ながら相次ぎます。

実際問題としてエンゲル係数をGoogle検索した場合に1ページ目のトップにヒットするのはこのWikipediaであり、サイト自体知名度からもエンゲル係数の内容をもう一度調べようと検索した人が最初に見る可能性の非常に高いもの。
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AB%E4%BF%82%E6%95%B0&;rlz=1C1RLNS_jaJP669JP687&oq=%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AB%E4%BF%82%E6%95%B0&aqs=chrome..69i57j69i60j69i61l2j0l2.1507j0j7&sourceid=chrome&ie=UTF-8

つまり複数のサイトの記述を比較検討して成否を確認するという習慣を持たない人に対しては、Wikipediaの改ざんされた記述だけで「エンゲル係数はもう大して役に立たない時代遅れの指標だ」という印象操作を行うことが十分に可能です。