2018年2月2日 朝刊 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018020202000074.html

 一月三十一日午後十一時四十分ごろ、生活保護受給者らの自立支援を掲げる札幌市東区北十七条東一の共同住宅「そしあるハイム」から出火、木造一部三階建て約四百平方メートルを全焼し、男性八人、女性三人の計十一人が死亡した。入居者十六人の大半は高齢で、身寄りがなく介護を必要としている人もいたという。北海道警によると、四十八〜八十五歳の十一人と連絡が取れず、安否確認を急いでいる。

 札幌市消防局によると、死亡した十一人のうち七人は一階で、四人は二階でそれぞれ見つかった。建物は築五十年近いとみられ、老朽化とここ数日の気温低下に伴う空気の乾燥が被害拡大につながった可能性がある。

 火災は半日たって鎮火。道警は一日午後から現場検証を始めた。一階中央を通る廊下や調理場付近が激しく燃えていることから、建物内で出火した可能性があるとみている。調理場で火を使った形跡はなかったという。

 そしあるハイムは札幌市北区の合同会社「なんもさサポート」が運営。以前旅館だった建物を借り、新たな住居や就職先が見つかるまで一時的に高齢者らを受け入れていた。入居者は生活保護費などから入居費として月三万六千円を払っていた。

 高齢者に食事を提供していたことから、市は、無届けの有料老人ホームに当たる可能性があるとして調査する方針。有料老人ホームとみなされれば、消防法や建築基準法により、誘導灯の設置などより厳しい防火対策を求められる。自力避難が難しい入所者が一定の割合を超えた場合は、スプリンクラーの設置義務も課せられる。

 道警によると安否不明の十一人は竹内正道さん(85)ら八十代三人、大友靖男さん(78)ら七十代四人、白府幸光さん(61)ら六十代三人と西山被佐雄さん(48)。入居者十六人のうち他の三人は気道のやけどなど負傷したが、命に別条はない。残る二人は無事だった。

 なんもさサポートの藤本典良代表によると、共同住宅は一階と二階に石油ファンヒーター付きの六畳個室が計十六部屋あり、一人で一部屋ずつ利用していた。風呂やトイレ、調理場などは共用だった。各部屋に火災報知機があったがスプリンクラーは設置していなかった。

◆連絡が取れない方々
 連絡が取れない入居者の方々は次の通り。(北海道警への取材による)

 竹内正道さん(85)▽森ハナエさん(82)▽渡辺静子さん(81)▽大友靖男さん(78)▽沢田昌子さん(76)▽今井栄友さん(72)▽渋谷新一さん(72)▽川勝正幸さん(67)▽湯浅隆之さん(66)▽白府幸光さん(61)▽西山被佐雄さん(48)