2018.02.01 時事
https://www.jiji.com/jc/v4?id=foresight_00224_201802010001
日露平和条約の新たな障害となる千島列島「要塞化」 フォーサイト-新潮社ニュースマガジン

 北方領土など千島列島の戦略的価値を重視するロシア軍が、昨年までに国後、択捉両島での施設近代化を突貫工事で完了し、今年は千島列島中部のマツア(松輪)島と北部のパラムシル(幌筵)島に新しい軍事基地を建設する予定だ。

 米露関係の悪化が背景にあり、ロシアは対米核戦力の聖域となるオホーツク海防衛のため、千島列島の要塞化を図ろうとしている。ウラジーミル・プーチン露大統領も、安全保障環境の改善が北方領土返還の条件としており、領土問題解決のハードルを高めている。

国後、択捉の基地を再建

 2016年11月、ロシア軍が択捉島に最新鋭の地対艦ミサイル「バスチオン」(射程300キロ)を、国後島に新型地対艦ミサイル「バル」(射程130キロ)を配備したと、太平洋艦隊機関紙が報じた。両ミサイルは大型艦の破壊に効果があるとされ、米空母機動艦隊を標的にしている。老朽装備が目立つ北方領土の兵器が更新されたのはソ連崩壊後初めてと見られる。

 プーチン大統領訪日1カ月前の配備は、対日けん制の要素があったのは間違いない。あるいは、領土割譲に反対する軍部が大統領に譲歩させないよう、兵器配備で圧力をかけた可能性もある。

 疲弊が進んでいた国後、択捉の基地刷新も、昨年までに完了した模様だ。セルゲイ・ショイグ国防相は2015年12月、国後・択捉両島で基地の再整備を行うと発表し、学校やレジャー施設、ショッピングセンターなどを含め、計392の施設を建設するとしていた。択捉島のロシア軍駐屯地は、太平洋岸の単冠湾に近いガリャーチークリューチとゴールノエの2カ所にあるが、ソ連崩壊後の兵力削減や1994年の北海道東方沖地震で施設の老朽化が進み、一部はゴーストタウンとなっていた。

 しかし、軍に近い建設企業が突貫工事で施設の新設や改修を進め、工事はほぼ完了した。施設は軍に引き渡された模様で、ロシアのインターネット上に、師団司令部のあるガリャーチークリューチの兵舎と見られる写真が公表されている。国後島のラグンノエ駐屯地の施設新設工事の写真も、『産経新聞』(2017年3月30日)が独自に入手したとして報じていた。

(以降ソースにて)