http://www.sankei.com/column/news/180120/clm1801200002-n1.html

 やはり日本の報道機関には、決定的に危機感も問題意識も足りない。トランプ米大統領が17日、「偏向し不公平で虚偽の報道」に贈る「フェイク(偽)ニュース賞」を発表した件である。トップ10にはCNNテレビが4つ、ニューヨーク・タイムズ紙が2つなど、大手マスコミの報道が選ばれていた。

 ▼1位は、同紙が「トランプ氏が大統領では株価は決して回復しない」とのノーベル経済学賞受賞者の見解を伝えた報道だった。そういえば日本でも、平成24年12月の第2次安倍晋三内閣発足時は、ハイパーインフレが起きるとか、株価が下落するとかの観測報道が飛び交った。

 ▼「国内でフェイク大賞をあげるとしたら、思いつくものは」。18日の記者会見で、小紙記者に問われた菅義偉官房長官は「いろいろ思い当たる節はあるが、コメントは控える」と苦笑していた。米政府に比べ、日本政府はマスコミに優しい。

 ▼一方で、インターネット上の言論を追うと、マスコミへの批判は年々高まるばかりである。新聞やテレビの報道自体が、一定の政治的意図を持ったフェイクではないかと疑われ、あるいは確信されている。朝日新聞の慰安婦報道をはじめ、そう指摘されて仕方ない部分も確かにある。

 ▼ところが、日本新聞協会が昨年の新聞週間(10月15〜21日)に発表した代表標語はこうだった。「新聞で 見分けるフェイク 知るファクト」。新聞記事そのものが、今やフェイク視されていることへの自覚が欠落している。

 ▼「不確かでゆがめられた情報が拡散され、事実を軽視する風潮が広がっている」。昨年の新聞大会決議にあるネット批判の一節である。反省なき責任転嫁を繰り返すようでは、残念ながら新聞はますます信頼を失うだろう。