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1月19日に日本外国特派員協会の会見に出席した東京新聞の望月衣塑子記者が、現在の首相官邸における取材の在り方を批判するとともにメディアが何のために存在しているのか発信していかなければならない、と語っていました。

この日自由党の森ゆうこ参議院議員との共著「追及力 権力の暴走を食い止める」に関連した会見を行った望月氏は、森議員のスピーチの後、著書の内容に軽く触れると、菅官房長官の会見における問題点の指摘に時間をかけ、海外の記者らに「権力にモノを言えない状況が生まれつつある」と訴えていました。

「追及力」では会見を通じて感じた安倍政権の民主主義軽視とマスメディア問題に言及している、と紹介した望月氏は長い時間をかけて詳細を説明、菅官房長官の会見に参加するようになった経緯から話し始めると質問を繰り返したことによって望月氏に追随する記者が現れるという効果があった一方で、官邸側からの反発もあったとしてその内幕に触れます。

それによると2017年のお盆休み中に安倍首相の秘書官が菅官房長官を担当している政治部記者に対しオフレコの場で「いつまで望月をあのように居させるんだ」「何とかならないのか」などと語ったと言い、8月末には官邸サイドから「今までの番記者にはこれまで通り質問させるが望月衣塑子の質問は制限したい」という打診があったそうです。

また、最近では望月氏が挙手すると司会役である室長が「今手を挙げている方1おひとり1問でお願いします」というアナウンスを流すようになったことから、現在では質問は1問かうまくいっても2問3問という状況だ、と思うように追及出来ない状態に置かれているという望月氏はこうした現状を実際の会見動画によって解説。

外国特派員協会の会見場で流されたのは1月19日午前の菅官房長官会見の模様でした。「次の質問最後でお願いします」というアナウンス後に問いをぶつけた望月氏が2問目の質問を求め「あ、あります。すいません。ありまーす!」と呼びかけたにも関わらず会見はそのまま終了してしまっていたというもの(関連記事)。

官邸における会見の実態を東京新聞記者という立場から語った望月氏は「記者クラブ制度、番記者制度によって権力に近いインサイド取材を重視するあまり権力にモノを言えない状況画生まれつつある」と懸念を示し、「メディアの立ち位置を考えなければならない」「メディアが何のために存在しているのか、メディアに属している我々が発信していかなければいけない」と訴えかけていました。

望月氏は1月20日未明に更新したFacebookでも、19日の会見で質問を求めたにも関わらず会見が終了してしまったことについて流れを細かく説明するとともに「声をあげるも、菅長官はこちらを睨みつつ無視」「室長も聞こえてないふり?!、そのままいつもの如く打ち切られる。。。」と不満を漏らしていますが、日本外国特派員協会の会見では官邸サイドの対応と共に、番記者や記者クラブといった制度も「権力にモノを言えない状況」が生まれつつある一因と考えていることを明かすなど現在の取材体制に対し一石を投じたとも言えそうです。