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1月14日のフジテレビ系「新報道2001」に出演した東海大学の金慶珠教授が、慰安婦問題における2015年12月の日韓合意を「最終的かつ不可逆的に解決したという合意ではない」「未完の合意」などと語り、自民党の山本一太政調会長代理が「ショックな言葉」と述べた他、複数の出演者から批判的な反応を浴びる場面がありました。

これは韓国が日韓合意に対する新方針を示したことについてその背景や真意を議論する中で、今なお増え続けている慰安婦像に焦点を当て、番組が「日韓合意で最終的かつ不可逆的に解決されたはずなのに何故慰安婦像が増え続けているのか」として金教授に意見を求めた際に飛び出していた発言でした。

金教授はまず日韓合意について「日韓合意の文面をよく見ると最終的かつ不可逆的に解決したという合意ではない」「書かれていることが誠実に履行されることを前提にしているという意味で未完の合意」だ、と主張。

その上で慰安婦像に関しては日韓合意で扱われているのは大使館前の慰安婦像のみである上に、韓国は撤去しますという約束をしているわけではないとして世界各国で増え続ける慰安婦像の問題とは切り離して考えるべきとの見解を示します。

一方で「韓国側の努力も確かに不足している」と指摘した金教授でしたが、日韓合意を「未完の合意」だと語った部分への反論が相次ぎ、まず文筆家の古谷経衡氏が「未完の合意は言い過ぎ」「ゴールがなくなってしまう」と批判。

その後キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹も「外交的には未完の合意なんてない」「パッケージなのだからちゃんとやらなきゃいけない」、更に自民党の山本一太政調会長代理に至っては「ちょっと金先生の言葉はショックでした」とまで述べ「未完の合意であるかのように言われたら外交が成り立たない」「日本側は誠実に履行している」と苦言を呈していました。

しかし金教授は最後まで自説を曲げることはなく、日韓合意の目的は被害者の名誉と尊厳の回復であり、そのための事業を行うとして拠出した10億円がまだ使われていない以上、(2015年)12月28日の時点で解決されたと解釈する事の方が無理がある、とあくまで日韓合意はまだ完了していないのだ、との考えを崩しませんでした。

この日の放送で金教授は一貫して韓国政府に理解を示す立場からの発言を繰り返し、韓国が日本側に新たな謝罪を求めたと報じられている点について「記者の質問に答えたに過ぎず日本に新たな要求をしたわけではない」と文在寅大統領を擁護していた他、慰安婦問題における日韓関係の基礎は1965年の日韓基本条約という意見に対しても「それは日本側の立場」と撥ね付け、更に今回の合意に関しても韓国側が約束を破ったとの論調について、韓国側に不信が芽生えたのは2014年に安倍政権が河野談話に関する作業部会で政治的妥協の産物だと位置づけたことにある、とあくまで日本側に問題があるとの姿勢を貫いていました。