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昨年、在外中国人社会を大いに騒がせた「郭文貴」という人物をご存知だろうか。
もとは中国の体制内に食い込んでいた富豪で、北京五輪の公園開発などで巨額の富を得たとされている。

胡錦濤時代(〜2012年)、中国の官僚の腐敗や官民癒着はなかば公然化し、海千山千の政商たちが数多く跋扈していたが、
郭文貴はそのなかの大物だった。彼の亡命直前の2014年には中国の大富豪ランキングで74位にランクイン。
諸報道によると、過去の郭文貴は江沢民派の首魁である曽慶紅の影響下にあったとされる。

だが、習近平体制のもとで大規模な汚職摘発と権力闘争が勃発した結果、郭文貴は失脚して2015年にアメリカに高飛びする。
やがて昨年春ごろから盛んに海外メディアに露出し、YoutubeやTwitterなどで中国共産党の高級幹部のゴシップ・スキャンダルを
次々に「爆料」(暴露)するようになった。今年4月に中国政府はICPO(国際刑事警察機構)を通じて郭文貴を国際指名手配している。

郭文貴の「爆料」は、習近平の腹心・王岐山の愛人問題やその親族と大手航空会社との癒着問題、元政法部門トップの孟建柱の隠し子問題や
党内派閥の謀議への参加などが代表的だ。特に王岐山については、今年10月に発足した第2次習近平政権で最高幹部として留任できなかった
一因が郭文貴の暴露だとする説もある。
郭文貴のYoutube映像は、啖呵売を思わせるべらんめえ調の口調が売りで、コンテンツとしてはヘタなテレビよりもずっと面白い。
正確な出生年すら定かならぬ生まれから、一時は総資産3000億円に達する大富豪に登りつめたパワフルすぎる中華親父。
話が面白くなかろうはずもない。今月売りの『SAPIO』(小学館)に掲載されたインタビューを読んでも、
実に怪しい魅力を放ちまくっているヤバいオッサンである。


(中略)


……とはいえ、郭文貴の話は「状況証拠」からは妥当なものも多いとはいえ、多くはウラが取れていないものだ。
また、彼が自身のウェブメディア上や、取材を受けた各メディアに向けて提示した「証拠」のなかには、音声が不明確だったり
写真がピンボケだったりと「微妙」なものも多い。

キャラクターとしての郭文貴は間違いなく面白いのだが、筆者の友人の某中国ジャーナリストは「中国版の籠池泰典氏みたい」と評する。
森友学園の大将と中国有数の大富豪では重みが違いすぎるとはいえ、距離を置いた第三者にそういうイメージを持たれるのも仕方ない部分はある。

だが、ともあれ郭文貴が引き起こしている現象それ自体は興味深く、在外華人を中心に熱狂的なファンも多い。
彼については中国民主化運動家の間でも評価が分かれているが、たとえば在米華人の主要なオピニオンリーダーの一人で、
ハーバード大学研究員の楊建利氏(政治団体「公民力量 Initiatives for China」代表)は、郭文貴を熱心に応援する立場を取っている。

筆者は昨年11月末、都内のマリオットホテルで、来日中の楊建利氏にインタビューする機会を得た。
中国民主化運動の積極的な支持者で運動家でもある楊氏はなぜ郭文貴を支持するのか、ご覧いただきたい。


(続きはソース元で)


ソース元タイトル『中国「大物政治家」のスキャンダルを暴露し続けた大富豪の狙い〜民主化の星か、中国版籠池氏か…〜』

現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/%61rticles/-/54113
2018年01月13日