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 望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、元TBS記者の男性ジャーナリストを訴えているジャーナリストの伊藤詩織さんが6日、国会内で開かれた超党派の国会議員の会合に出席した。伊藤さんは自身の体験を振り返りながら、性被害を訴えた場合の捜査や支援のあり方を見直すよう訴えた。

 会合には、民進、立憲民主、希望、共産、日本維新の会、自由、社民、沖縄の風の野党各党・会派の国会議員が出席。伊藤さんが「逮捕状が裁判所から発行されたにもかかわらず、現場で当日執行されなかった。常に疑問に感じている」と述べると、出席者からは、「捜査や検察審査会の公平性の確保と被害者支援の強化に向けた提言をまとめていきたい」といった意見が出た。

 伊藤さんは2015年、就職相談のため、東京都内で男性と会食した後、意識を失い望まない性行為をされた、として警察に告訴。準強姦(ごうかん)容疑で捜査されたが、嫌疑不十分で不起訴処分になった。今年5月、検察審査会に不服の申し立てをしたが、9月に「不起訴相当」の議決が出た。この際、男性は「一連の経過で犯罪行為を認定されたことは一度もなく、今回でこの案件は完全に終結した。一部報道などで名誉が著しく傷つけられ、法的措置も検討している」とコメント。民事訴訟でも争う姿勢を示している。

 捜査をめぐっては、議連メンバーを中心に特別国会でも質疑が続いている。先月30日の参院予算委員会では、社民の福島瑞穂氏が安倍晋三首相に男性との関係を尋ね、首相は「取材対象として知っている」と述べた。「逮捕状執行停止を知っていたか」と問う質問には「個別の事案について答えることは差し控えたい」と述べた。(南彰)