2017年12月5日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/218891

何のための“第三者”機関なのか――。

 愛媛県・今治市に開学予定の「加計学園」の獣医学部をめぐる問題で、先月28日に実施された同市の大学設置事業専門委員の第2回連絡会。「建築費水増し疑惑」「バイオハザード施設(BSL施設)の安全性」「設置認可プロセスの不透明性」などの問題について、解決のための提案がなされるのかと思いきや、まるで茶番だった。

「安全性の確保について確認を行った」「(校舎建設費について)どのように設計予算書を作成したのかがよく分かった」「文科省の設置認可においても審査された状況について確認した」「建設や備品等の業者の選定プロセスについても確認」――などと、市や学園側の説明を委員が“うのみ”しただけなのだ。

■専門委員座長と市長が“ツーカー”の仲

 専門委員は、学部開設に必要な校舎建築費や設置プロセスの妥当性について「専門的な見地から助言等を行う」独立した“第三者機関”であるはず。なぜ市に対するチェック機能を果たせないのか。今治市議のひとりがこう明かす。

「専門委員座長の妹尾克敏・松山大教授(法学)は、以前から今治市の行政に関わっていて、指名したのは菅良二市長です。妹尾教授は、市の行政改革推進審議会や情報審査会の委員で、いわば市長と“ツーカー”の仲。専門委員は、市にとって都合の悪い判断などしないでしょうし、開学に向けた既成事実を積み上げているだけです。今月19日に3回目の連絡会を行って、委員が市長に答申する予定ですが、そこで『問題なし』との報告を受けて、翌20日の国家戦略特区特別委員会で同じような答弁がされるでしょう」

 さらに、膨大な資料を2カ月で精査できるか疑問だという。

「10月末に1回目の会合が実現しましたが、遅きに失した。県は、市の専門委員の判断を待って補助金を出すか議会に諮るようですが、たった2カ月で図面や建築費などをきちんとチェックできるでしょうか。結論ありきですよ」(前出の市議)

 いくら専門家が集まっても、“会議のための会議”ではしょうがない。やはり、加計孝太郎理事長に公の場で説明してもらうしかないようだ。