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■「外国人枠20人」で定員穴埋め

留学生受け入れを支援する日本学生支援機構の最新データ(28年5月1日時点)によれば、学位取得を目的として日本の大学の獣医学部に在籍している外国人留学生は全国で18人だという。

 それを一気に倍増させる20人もの外国人留学生枠で定員を確保するのは事実か。入学に必要な日本語水準はどのレベルに設定しているのか。卒業後は日本国内で獣医師になるという条件はつけないのか――。加計学園に質問状を送ったが、「担当者が出張中」とのことで、期限までに回答はなかった。

 元文科省審議官で京都造形芸術大教授の寺脇研氏が言う。

「積極的に留学生を受け入れるのは悪いことではないが、加計学園の場合、学部新設の理由に四国の公務員獣医師不足を解消することが挙げられていた。大量に受け入れた外国人留学生が本国に帰ってしまうなら、そもそもの前提が崩れてしまう。国家戦略特区の趣旨と整合性がつきません。それに、既存の学部ではできないハイレベルの研究をすると言っているのに、通常の日本留学試験レベルのAO入試で対応できるのか。留学生を多く受け入れる国際色豊かな獣医学部が画期的だというなら、最初からそうアピールすればよかった。悪評で学生が集まらないから、海外から学生を呼んで定員を埋めようという苦し紛れにしか見えません。税金の使われ方としても問題です」

 これでは、首相のお友達を厚遇するための国家私物化特区と言われても仕方がない。加計の獣医学部新設には、建築費水増しによる補助金詐欺疑惑やバイオセキュリティー面での危険性も指摘されている。野党は徹底して問題解明にあたるべきだ。