2017.11.8 05:00
 首相の安倍晋三と米大統領、トランプがゴルフ、会食、会談など一連の行事で見せた親密さは、同時に日米同盟の強固さを世界に印象付けた。安倍は周囲に「日米関係に付け入る隙はないことを、世界に示すという目的は達成した」とその意義を語る。両首脳の蜜月関係の舞台裏を検証した。

 6日午後9時半ごろ、東京・元赤坂の迎賓館。晩餐会後の記念撮影などすべての日程を終えたトランプは、安倍との別れを惜しんだ。

 「これから韓国、中国に行くから、いろんな話をするつもりだ。また連絡するが、どのみちアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でベトナムで会うから、その時に話そう。中韓との会談がどういう展開になったか伝えるよ」

 こう語ったトランプはさらに、5日午後のプレーを含めて安倍との2回にわたるゴルフ会談を振り返り、安倍との友情についてこう述懐した。

 「やっぱり、ゴルフをしたことがお互い大きかったなあ。私も(各国と)何度か首脳会談をしてきたけれど、会談して食事して終わりだからな。その点、ゴルフをすれば相手の性格も分かるし、本音も話せるし、打ち解けることができた」

 拉致被害者の家族との面会では膝詰めで話を聞き、「皆さんは強いリーダーを持っている」と安倍を持ち上げた。安倍には「シンゾー、これは必ず一緒にやろう(解決しよう)」と呼びかけた。

 5日のゴルフ会談に関しては、語り合ったことを表に出さない取り決めになっているが、北朝鮮危機などに関し本音の話をした。同席者の多い首脳会談時よりも、むしろ掘り下げた話があったといい、当面は、日米両国や関係諸国による対北制裁の行方を見守ることなどで合意したとされる。

 両首脳が機微にわたる話をしたのは、一緒にプレーしたプロゴルファーの松山英樹が離れた場所にいた場面でのことだった。

 北朝鮮危機をめぐっては5日夜の東京・銀座の鉄板焼き店でも、トランプ好みのウェルダンで焼かれた但馬牛を堪能しつつ、両首脳は次の見解で一致した。

 トランプ「とにかくこちらから北朝鮮に、何らかの対話を請う(beg)てはならない」

 安倍「もちろん、向こうから対話を求めるようにしなければいけない」

 トランプは今回、共同記者会見などで日米間の貿易不均衡問題にも言及したが、安倍に直接それへの対応を求めることはしなかった。逆にこう明言した。

 「(貿易問題で)日米同盟に悪い影響を与えることはしない」

 トランプとしては、米国内向けにテレビカメラの前では経済問題をアピールせざるを得ないという事情もあったようだ。「トランプ氏は貿易赤字はあっても、日本ともめてはいけないと思っている」(外務省幹部)ことがはっきりしたのも、今回の一連の会談の成果だといえる。

http://www.sankei.com/smp/politics/news/171108/plt1711080002-s1.html
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続きます