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 衆院選の圧勝にもかかわらず、安倍晋三首相(自民党総裁)の政治手法や政権運営に党内から異論が出ている。特別国会の日程を巡っては、首相官邸が主張した実質審議なしの8日間の会期を党側がくつがえし、39日間になった。高い内閣支持率を背景に、政府が党を抑えてきた「政高党低」の構図に変化の兆しがみえる。

 「十分な審議時間がとれたのは良かった。選挙で政権へのさまざまな意見を聞いたわけだから、逃げてはいけない」。2日、自民党石原派の会合で、石原伸晃前経済再生担当相は会期の見直しを評価し、審議を尽くすよう政府にクギを刺した。岸田文雄政調会長も派閥会合で「ここで国民の失望を買えば、その反動は計り知れない」と指摘した。

 自民党は衆院選で284議席を獲得。首相は1日の記者会見で、過去3回の総選挙の中で「最も高い得票数」と胸を張ったが、党内に高揚感はほとんどない。野党分裂に助けられた側面が強く、森友、加計問題などに対する世論の批判は根強いためだ。

 このため、森友、加計問題について、閉会中審査で対応しようとした官邸の方針に「首相が逃げたと言われかねない」と党側が反発した。森友、加計問題は党ではなく、首相個人の問題だという不満も背景にある。森山裕国対委員長は1日、「国民への説明責任を国会として果たす」と強調した。

 野党が反発している衆院での与野党の質問時間配分の見直しを巡っても、「議席数に(時間配分も)応じるのは国民からすればもっともだ」(菅義偉官房長官)と強硬な官邸に対し、党内から批判が出る。石破茂元幹事長は2日の派閥総会で、政府と与党が事前協議することを挙げて「その分は割り引かないとフェアではない。議席配分に見合った(時間配分)というのは議論として成り立たない」と正面から批判した。

 政策でも、首相主導への不満が表面化している。首相は幼児教育無償化などの財源として産業界に3000億円の拠出を求めたが、小泉進次郎筆頭副幹事長は1日、記者団に「全く党で議論していない。このままなら党は要らない」と訴えた。

 逢沢一郎・元衆院議院運営委員長は谷垣禎一元総裁のグループ会合で「あなたに1票入れるのは安倍首相の続投を支持するようで釈然としない、との話を選挙戦で聞いた。『安倍1強』に向き合い、バランスのとれた党内議論を確保する必要がある」と指摘した。【小山由宇、竹内望】