詩織さん会見で元TBSワシントン支局長・金平茂紀「元同僚・部下の行動に怒り覚える」
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元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から性的暴行を受けたと告発した伊藤詩織さんが2017年10月24日、東京都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。被害の実態や、警察・検察とのやり取りなどをつづった自著の発刊を受け、詩織さんは「ブラックボックスに光を当てたい」と述べた。

【写真】詩織さんが机上に置いていた自著『Black Box』

 会見では、山口氏と同じワシントン支局長を経験した元TBSの金平茂紀氏が質問に立ち、「私と同じ組織に属していた元同僚・部下が詩織さんにとった行動というのは、私は理解できないくらい怒りを覚えています」と、心情を吐露する場面があった。

■検察審査会に対して抱いた「疑問」

 詩織さんは会見冒頭、2015年4月に受けたという性的被害の概要を説明。当時TBSワシントン支局長だった山口氏から仕事のオファーを受け、就労ビザについて話すため都内で食事に誘われた。食事後に気を失い、激しい痛みで目を覚ますと、山口氏が上に乗っていたとしている。

 詩織さんの説明によると、山口氏には逮捕状が発行されていたが、逮捕されなかったという。その後、書類送検されたが東京地検は不起訴処分。詩織さんは不服申し立てをしたが、検察審査会は17年9月21日付で不起訴相当とした。

 会見で詩織さんは「検察審査会には申立人が呼ばれて事情を聞かれることもあります。しかし今回は私も弁護士も呼ばれることがなく、議決が出た後の説明もありませんでした。『不起訴を覆す理由がない』としていますが、その具体的な説明もありませんでした」と、疑念を述べた。

  「申立てで注記をつけてお願いしたことがあります。それは、私がタクシーから抱えられるように下ろされ、ホテルに引きずられていく防犯カメラの映像を、静止画ではなく、動画で審査員の方々に見てほしい。しかし実際に証拠として動画が提出されたかも分かりません」

 詩織さんは、議決後に検察審査会に質問状を出したものの回答は得られなかったという。これを受け、「検察審査会は完全非公開であるとはいえ、ここまで情報が得られず、説明の機会も与えられなかったことは、さらに疑問を生みました」と疑いを深めている。

 詩織さんが語った後、質問に立った1人が金平氏。元TBS記者でワシントン支局長を経験したといった経歴は、山口氏と共通する。そうした立場から、最初に心境を述べた。


「私はTBSの元ワシントン支局長です」

  「私はTBSの元ワシントン支局長です。私と同じ組織に属していた元同僚、部下が詩織さんにとった行動というのは、私は理解できないくらい怒りを覚えています。就職の話に絡んでああいうことをやるというのが理解できない。私は、部下がそういうことをしたのは本当に許せません。想像もできません。犯罪行為があったとすれば、1人の人間のモラルとして恥ずべきことだと思っています」

 その上で「登場人物が私の周りに多すぎるものですから、質問するかどうか非常に迷っていましたが、私自身はそういう気持ちだとお伝えしたいと思います」と発言した。

 迷ったうえで金平氏が質問したかったのは、「この本(詩織さんの著書)を読んで、特異な動きがあると感じた」からだという。

  「警察が示談を斡旋したという行為です。捜査員が示談を勧め、弁護士を紹介してそこに捜査員を伴っているというのは、捜査機関として逸脱したような行為だと思います。これは詩織さんのほうから弁護士を紹介してほしいと警察に言ったのですか」

 詩織さんは「これは警視庁の方から言われたことです」として次のように答えた。

  「当時、高輪署から警視庁本庁に事件が移った時に、山口氏側の弁護士が警視庁を訪れて示談をもちかけたと。その際、『詩織さんはお願いしている弁護士はいるか』と聞かれ、私は『いません』と答えたところ、『被害者支援で賄えるシステムがあるから、必ず必要になるから』と言われました。当時、私が最も弁護士の先生が必要だと思っていたのは、使われなかった(山口氏の)逮捕状は今どこにあり、どうなっているのか。私が被害者として伺っても教えていただけず弁護士を探していたので、私は『紹介してほしい』と。ただ、警視庁の車で連れられた先で相談に乗った方は、示談の話をするばかりだったので、その方にはお願いしませんでした」