2017.10.14 05:00

 希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は13日、都内で、民進党の前原誠司代表と衆院選公示後初めて一緒に街頭演説に臨み、希望の党候補への支援を呼びかけた。選挙戦に入ってからの党の失速に危機感を募らせる小池氏は「改革保守」の存在意義を訴えたが、おひざ元の首都・東京でも聴衆の反応は7月の東京都議選と比べて冷ややかになっている。

・支持首位だったが

 小池、前原両氏が街頭に立ったのは、東京3区(品川区など)にあるJR大井町駅前。同3区は、衆院解散の直前に民進党から希望の党に移った松原仁氏と、自民党の石原宏高氏の両前職が競り合う激戦区だ。

 マイクを握った小池氏は切々と訴えた。

 「序盤戦で厳しい評価が下っている。(与党に)大勝ちさせて日本はどうなるのかと思う人は、希望の党に希望を寄せてほしい」

 都議選で産経新聞社が実施した出口調査によると、3区内でトップだった支持党派は、小池氏が率いた「都民ファーストの会」で、自民、公明両党の支持者を足しても都民ファーストが上回った。

 希望の党の候補者は、多くが「小池マジック」の再来を頼りにした。大井町駅前には冷たい雨まじりの中でも約300人の聴衆が集まった。ただ、都議選の熱狂的な雰囲気とは明らかに違っていた。

 小池氏は、民進党を事実上解党した前原氏を「身を捨てながら新時代を築こうという決断に心から敬意を表す」と持ち上げ、民進出身者に「踏み絵」を踏ませた希望の党を「一つの旗印のもとに集結する改革保守」とも誇ってみせた。

 逆に安倍晋三首相(自民党総裁)を「何かを隠さないといけないから選挙をする」「このまま『安倍一強』政治を続けてはいけない」と批判したが、演説後には「都政に専念しろ」とのヤジも飛んだ。

・前原氏には解任論

 希望の党の失速は前原氏の求心力低下にも直結する。民進党出身者を含む多くの希望の党候補の苦戦が伝えられ、「名を捨てて実を取る」(前原氏)という合流の目標が遠のきつつあるからだ。党内では衆院選後に前原氏の代表解任を模索する動きも起き、足元はおぼつかない。

 「合流は安倍首相の『一強政治』を倒すためだ。しっかり小池氏とタッグを組んで頑張っていく」

 小池氏に先立って演説した前原氏はこう強弁したが、聴衆の反応は小池氏のときよりも乏しかった。(大橋拓史、広池慶一)

◇ ◇ ◇

・牙城の10区、自民が猛攻

 自民党は、小池氏の衆院議員時代の選挙区だった東京10区に攻勢をかけている。10区は小池氏の側近で希望の党結党時のメンバーである若狭勝氏が受け継いだ。これに対し自民党は、前回は比例代表候補だった前職、鈴木隼人氏を擁立、7月の都議選で小池氏が率いた「都民ファーストの会」に惨敗した「リベンジ」の象徴区と位置づけ、菅義偉官房長官や小泉進次郎筆頭副幹事長らが続々と現地入りしている。

 13日には、小池氏に近いといわれている党都連会長の鴨下一郎元環境相が豊島区に入り、「自民党は小池氏が知事になって混乱したが、立て直したい」と訴え、支援を呼びかけた。

 都内の選挙区から立候補する自民党候補は「街頭で『小池氏に負けるな』という激励をたくさん受ける」という。都民ファーストを離党した都議が自民党候補を支援する動きも出始めている。(沢田大典)

 ▽東京3区 (3人)

香西 克介41 党准中央委員共 新 

石原 宏高53☆元内閣副大臣自(石)前 【公】

松原  仁61☆元拉致相 希 前 

 ▽東京10区 (6人)

若狭  勝60☆元検事  希 前 

鈴木 庸介41☆元NHK記者立 新 

鈴木 隼人40☆元経産省職員自(額)前 【公】

岸  良信62 党都委員 共 新 

吉井 利光35 党都代表 幸 新 

小山  徹42 会社員  無 新 

 ※いずれも届け出順、☆は比例と重複 

http://www.sankei.com/politics/news/171014/plt1710140008-n1.html