https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171012-00000053-mai-pol

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の大型輸送ヘリコプターCH53が11日夕方に沖縄県東村(ひがしそん)高江の米軍北部訓練場付近の民有地に不時着後、大破し炎上した事故で、県は12日、防衛省沖縄防衛局や外務省沖縄事務所に抗議するとともに事故原因の徹底究明と同型機の飛行中止などを求める。また翁長雄志知事は同日、事故現場を視察した。

 翁長知事は事故現場を視察後、報道陣に対し「悲しい、悔しい、そして怒り。いろいろな米軍関係の事件や事故を思い出しながら、どのように国に訴えていくのかを考えている。ある意味でこのような状況を国が沖縄に強いているのが国難だ」と語った。

 事故機は2004年8月に沖縄国際大(宜野湾市)に墜落したヘリの後継機。沖縄県内では昨年12月に米軍垂直離着陸輸送機オスプレイが名護市沖で不時着し、大破する事故を起こすなど米軍機の事故や緊急着陸が相次いでおり、今回の事故で米軍に対する反発がさらに強まるのは必至だ。

 沖縄県の富川盛武副知事は12日、県庁で記者団に対し、在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官から11日に「クラッシュ(墜落)ではない。エマージェンシーランディング(緊急着陸)だ」と連絡があったと説明。「炎が出ており、クラッシュと変わらないという実感だ」と語った。

 一方、衆院選の応援で沖縄入りしていた自民党の岸田文雄政調会長は12日、選挙日程を取りやめて米軍ヘリの事故現場を訪れた。

 在沖縄米海兵隊は「飛行中の火災で北部訓練場外に緊急着陸した。現場へ急行し消火した」と説明。乗員7人にけがはなかった。現場は県道70号に近い米軍基地敷地外の民間の牧草地。最も近い民家までは約300メートル、高江小学校までは約2キロしか離れていない。

 高江地区周辺には県内最大の米軍施設である北部訓練場が広がり、訓練場の約半分の4000ヘクタールを返還する条件として昨年12月までに6カ所のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)が移設された。ヘリパッドは高江地区を取り囲むように配置されているため、周辺上空ではオスプレイやヘリが頻繁に飛行している。

 翁長知事は11日夜、記者団に対して「昨年の名護市での墜落事故から1年もたたないうちに米軍が再び県内で同様の事故を起こしたことに強い憤りを感じている。事故原因の徹底的な究明と早急な公表、原因究明までの同型機の飛行を中止するよう強く要請する」と述べた。また「一歩間違えば住宅地に墜落していた。県民の生命や財産がいかに危ういものかが感じられる」と強い不快感を示した。【佐藤敬一、川上珠実】