https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171001-00000017-sasahi-pol

 小池百合子氏率いる「希望の党」が政治報道の大半を占めている。細野豪志氏と若狭勝氏も直前まで知らされていなかったという小池流サプライズの手法はとどまるところを知らず、毎日目玉ニュースを提供している。

 民進党・前原誠司代表の言葉も、細野氏や若狭氏の言葉もほとんど何の意味もない。発言が報道されるそばから小池氏に覆されるということが頻発している。

 しかも、驚くべきことに小池氏自身の言葉も、日替わりでくるくる変わっているようで、何を信じていいのかわからない。神=小池のみぞ知るという状態だ。

 しかし、実は、小池氏の発言や行動は全て緻密に計算されているようだ。

中略

 今後さらに原発関連で動きがあるとすれば、反原発のシンボルになるような人に立候補してもらうということくらいではないか。

 このような状況下で、原発ゼロを実現したい有権者はどの党の候補者に投票すべきであろうか。

 第一の選択肢は、共産党や社民党候補への投票である。彼らは、ぶれないから、安心して投票できるし、共産党候補はほぼ全選挙区にいるから投票先の候補者を見つけられない確率は低い。しかし、残念ながら、政権政党になる可能性はない。したがって、原発ゼロの実現のために投票しても実質的には、死票となる。

 第二の選択肢は、希望の党から合流を拒否されるかあるいは自らの意思で最初から合流を拒否する元民進党の無所属前議員だ。彼らの数がどれくらいに上るかにもよるが、仮に当選者が20人を超えるようなことがあれば、国会でも質問時間を確保できて、一定の影響力は持てるだろう。ただし、これも政権政党になる可能性はほぼないので、原発ゼロ政策実現は難しい。

 また、自分の選挙区で候補者が見つからないことも多いという問題もある。その場合は、共産党候補に入れるということになるだろう。比例では、彼らの支持政党はないので、ここでも共産党に投票するしかないだろう。

 そこで、選挙後に、希望の党の脱原発派の議員と、合流できなかったリベラル系議員とが協力して、原発を止める法案を議員立法で提案することが考えられる。

 例えば、北朝鮮のミサイル危機が終わるまで全ての原発を止めることや使用済み核燃料プールの地下設置義務化などの緊急立法を提案する法案だ。政権をとれなくても、こうした提案をすれば、北朝鮮危機を煽る安倍政権を攻撃する有効な材料になるだろう。

 もちろん、そういう動きをしたときに希望の党の執行部から待ったがかかるかもしれない。その時は離党してリベラル系旧民進党議員と合流する手もある。政権与党になっていれば、まとまって離党されると、せっかく奪取した政権の崩壊につながるだけに、法案成立の可能性は高まる。

 民進党存続のままでも、戦えば落選の可能性が高かったリベラル系候補が小池氏人気で生き延びてくれれば、それだけ、脱原発議員の数が増える。リベラル系の有権者が、小池氏は信用しなくても、そこに望みを託して投票するというのも決しておかしなことではないだろう。

 また、共産党は希望の党候補のいる全選挙区に候補者を立てると言っているが、できれば、リベラル系で希望の党に合流した候補の選挙区では、対立候補を立てないという配慮をすれば、かなりのリベラル議員が残り、将来的な共産党との連携の目も残るかもしれない。

 今、リベラル系市民の中では、希望の党不信がかなり強い。それにはそれなりの根拠(とりわけ安保政策や改憲で安倍補完勢力になるという疑念)があり、とてもよく理解できる。したがって、希望の党の公認を得た元民進党候補の支援はできないというのもよくわかる。

 一方、テレビのワイドショー番組は、小池旋風を強めて視聴率を稼ぎたいという思惑で動いている。となれば、この勢いは続き、希望の党が大躍進する確率はかなり高い。そう考えると、希望の党に投票して、その中のリベラル系議員に頑張ってもらおうと考えるのも有力な選択肢だ……。

 と、正反対の二つの考えの間で心は揺れ動く。

 これから投票日までの約20日間、究極の選択を迫られるリベラル系市民は、最後まで悩みに悩んで運命の決断をしなければならない。