福島選出の吉野復興相に「復興補助金」が還流していた
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170911-00000008-pseven-soci

「震災復興のため」──そうして血税を集めて被災地に払われたはずの補助金が、政治家に流れていた。しかもそれが被災地選出の復興大臣だというのだから、看過できない。

◆3年間で714万円

「被災者の気持ちはどなたよりも私が理解しているというふうに思っております。被災地の復興に全力を尽くしてまいります」

 吉野正芳・復興相は今年4月の大臣就任会見でこう述べた。8月の内閣改造でも留任した吉野氏は生まれも選挙区も福島県だ。自宅が被災したという吉野氏にとって、東日本大震災の被災地復興は政治家としてのライフワークであり、被災者もその手腕に期待しているはずだ。

 しかも「前任の今村雅弘氏は被災者の怒りを買う失言(*注1)で辞任し、その前の高木毅氏は“パンツ泥棒疑惑”が問題視された経緯があり、政権の“鬼門”だった。その点、被災地出身の吉野氏なら問題は起こさないだろうという判断が起用の背景にあった」(大手紙政治部記者)といわれる。

【*注1/今年4月25日、二階派のパーティで今村氏が「これ(震災)がまだ東北で、あっちの方だったからよかった」と発言し問題になった】

 その吉野氏に被災者の期待を裏切る疑惑が浮上した。震災復興にはこれまでに多額の税金が投じられている。その中の1つに「ふくしま産業復興企業立地補助金」がある。

 同補助金は震災翌年の2012年に福島県が創設。県内で工場などを新設・増設する企業に補助金を支給し、地域の雇用を確保することを目的とする。主体は福島県だが、その財源約2000億円のほぼ全額は経済産業省からの補助金だ。現在までに約500の企業が県から指定を受け、「ふくしま産業復興企業立地補助金」を交付されている。

 福島県内の雇用は今なお厳しい現状にあり、県内就職件数は、震災が発生した2011年の4万9596件から年々減少し、2015年には3万8554件になっている。その状況を改善するための補助金のはずが、復興を先導する吉野氏の政治団体に流れていた。