利権政治よ、さらば!小池都知事の参謀・若狭勝氏、国政新党旗揚げへ
妻をがんで亡くした特捜部時代「なにくそ魂」で乗り越えた
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170804/soc1708040014-n1.html

 「自民党都連はこれで三度(みたび)失敗したわけですよ。昨年7月の知事選、今年2月の千代田区長選、そして今回。知事選で小池(百合子)さんがどうして大差で勝利したのか。全く分析できていないから、同じ轍を踏むわけです」

 東京都に初の女性知事を誕生させ、区長、都議と計3度の選挙戦で小池陣営に勝利をもたらした参謀は、表情一つ変えず訥々と語る。

 この快進撃を成した風の正体は何か。

 「利権と密接につながる『しがらみ政治』、それはもういいという民意でしょうね。利権の一例を言うなら、都の公共事業での入札システムもそう。築地市場解体の入札では分割発注で工区が4つに分けられた。
一般論として、分割発注だと、一括発注より割高になる上、多くのゼネコンが落札できる機会が増える。つまり、官側が『将来、自分たちを天下りで引き受けてもらうために、多くのゼネコンに利益を落とす』という不純な動機で入札を行いかねない」

 経費が膨れあがり、批判を集める東京五輪も「利権のにおいがしますね」。しがらみ政治の影を感じ取っている。

 東京下町生まれ。タクシーの運転手だった父親が自宅裏に開いた小さな町工場で育った。

 「朝から晩まで1個何十銭という部品を山のように作って生計をたてていた。僕も部品が入った結構な重さのコンテナをよく運んでましたよ」

 苦労する父母の背中を見るなかで、汗水垂らして働く人たちがバカをみる社会であってはならないという思いを強くする。

 司法試験に合格したときも正義感から検事を選んだ。横浜地検で、なだしお事件(1988年)、東京地検特捜部では、元建設相らが逮捕・起訴されるゼネコン汚職(93年)などの捜査に関わった。

 「特捜部の仕事は、切った張ったの世界。大物代議士と渡り合ったりするわけですから、生きるか死ぬかくらい大変で労力もいる。ただ、背水の陣というか、そういう状況になると普段ではありえない力が出る。僕はそういう力を割と信じてますね」

 司法試験も「昭和55(80)年10月」と期限を決め、落ちたら就職するつもりだった。特捜部時代、妻を大腸がんで亡くし、幼い子供2人を育てながら仕事をやり抜いたのも、「なにくそ魂」があったからと明かす。

 弁護士に転じると、素人にもわかりやすい解説で新聞にテレビに引っ張りだこになる。その人気を政界は見逃さない。

 「僕は特捜部で自民党の先生方を追及してきた側です。その自民党からお話をいただいたとき、僕の経歴を分かっているわけだから、党の中にあって、国民の信頼を失わせしめるようなことをチェックする役を仰せつかったという思いだった」

 だが、中に入ってみると、「壁が厚い、高いというか。ひしひしと…」。失望深く離党する。

 「僕がなぜ小池さんを徹底的に支えるかというと、即断力、決断力、実行力は間違いなくある。小池さんが(自民党の)防衛大臣だったとき、防衛庁(当時)の守屋武昌事務次官を更迭する。何か怪しいと。
その数カ月後に守屋さんは収賄罪で逮捕されるけど、なぜあそこでそんな決断ができたのか。男の大臣ではしがらみもあってできなかったでしょう。『政界渡り鳥』とも言われるけど、彼女の哲学からすると、実行力があるからこそ渡れるということにもなる」

 日本の首都で勝利したいま、自然と視線は国政へ。

 「自民党に代わる受け皿は絶対必要です。2大政党制の下で刺激し合って国民の選択を増やすのが民主主義だと思うので。今年、(国政新党を)立ち上げずに来年、再来年ということはない。
ただ、小池さんは都政に専念したいと思っているので、代表になることはまずないですね」

 先の3選挙を章にたとえ、国政を第4章と位置づける。無党派層は再び緑の風となって吹き荒れるのか。嵐の前の静けさだ。