http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017060500003.html

前略

 実際、安保法制によって名実ともに日米同盟を完成させれば、中国や北朝鮮に対する抑止力が発生するという触れ込みでしたが、当初から指摘されていた通り、そうした立法事実は存在しませんでした。彼らの動きは、かえって活発化しています。

 安倍政権の支持率が下降すると、必ず絶妙のタイミングで、北朝鮮からミサイルが寸止めの形で発射されてきます。敵対関係というよりはむしろ、お互いがお互いを必要とする、隠れた相互依存関係の存在すら感じられます。

 他方で、竹島や尖閣のような国境管理の問題についても、それまでの暗黙のルールを――前者の場合は韓国が、後者の場合は日本が――破ったことによって、対立が先鋭化しました。国民感情も大いに刺戟されているため、安保法制はシグナルとして弱すぎたようです。

 いずれにせよ、当面は、9条によって枠づけられたオープンスペースのなかで、外交・安全保障のリアリズムを追求してゆくほかはないわけです。国際社会の立憲化が進むまでの間、国家単位で現れざるを得ない「国際憲法」的な規定にとって、そうした矛盾は避けることのできない宿命です。

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