「今明らかになりつつあるのが、昭和の戦争の主役であった日本陸軍、参謀本部や陸軍省に
ソ連や中共の工作員が多数潜入していたということである。

たとえば盧溝橋事件直後に拡大論を唱えて、石原莞爾と対峙しつつ日中戦争の泥沼に追い
やった勢力がある。彼らは同時に日独伊三国同盟を推進することによって日米分断と連合
国陣営の形成を事実上促し、さらには『南部仏印進駐』を推進して日米開戦を惹き起し、
それによって『社会主義の祖国』ソ連を守ることに成功した。

この背景にはコミンテルンの工作があったことはほぼ証明されているが、その具体像は
これから歴史家が明かすことになろう。」


「近衛・東條の両内閣を通じ、国策の大きな方向づけをしていった『昭和研究会』などに
結集していた知識人グループこそ、故意に敗戦を導いたという点で最も重い戦争責任を
負うべき日本人ではなかろうか。田中慎次郎や西園寺公一、犬養健といった、ゾルゲ事件
で検挙された人たちの調書や行動をもう一度検証する必要がある。

さらには、ゾルゲ・尾崎らの逮捕前後に近衛内閣が崩壊したことの再検証も重要課題である。