【政界徒然草】竹下登元首相の志を継ぐのは誰だ 額賀派「名門復活」への総裁候補に絞られた3人のウィークポイント
産經新聞:2017.7.18 01:00更新
http://www.sankei.com/politics/news/170718/plt1707180002-n1.html
(全文は掲載元でどうぞ)

http://www.sankei.com/images/news/170718/plt1707180002-n1.jpg

 自民党額賀派(55人、平成研究会)は7月4日、竹下登元首相(1924〜2000)が竹下派(経世会)として旗揚げしてから30周年の節目を迎えた。
かつては最大派閥として政権運営で絶大な影響力を発揮したが、現在の額賀派は他派閥の再編の動きに取り残され、党内第3派閥に転落した。
「名門復活」に向け総裁候補の擁立を期待する声も強まっているが、今のところ候補になり得るのは3人。
ただ、いずれも決め手に欠け、衆目一致する候補はいないのが実情だ。

 JR出雲市駅(島根県出雲市)から車で約1時間。
トンネルをいくつもくぐった先の山深い集落に、竹下元首相の生家の造り酒屋がある。
裏手の急な石段を130段あまり登った高台には墓があり、竹下元首相は生前、ここから山間の景色を見渡し、生涯の政治テーマ「ふるさと創生」を誓ったという。

 7月8日、額賀派の約30人が創設30周年を機にこの地を訪ね、墓参りをした。
首相任命状が飾られる生家や、近くに建つ銅像も訪問した。

 消費税導入や地方活性化に取り組み、日本政治史に名を残す竹下登氏の原点に触れた一行は、名門派閥の重みを改めて実感したに違いない。
参加者からは「反省」の言葉が相次いだ。

 額賀派会長の額賀福志郎元財務相(73)は「竹下元首相に薫陶を受けたが、十分に国家や先輩たちに恩返しをできないままでいることを自戒する」と述べ、
竹下元首相の弟の竹下亘国対委員長(70)は「兄は『お前ら何やっているんだ』という思いを持っているのではないか」と語った。

 額賀派は竹下派や小渕派の時代、竹下登(首相在任:昭和62〜平成元年)、橋本龍太郎(同:平成8〜10年)、小渕恵三(同:10〜12年)の3首相を輩出した。
他派閥出身の首相時代も数の力と結束力を背景に人事や政策決定、国会運営を牛耳った。
「経世会にあらずんば自民党にあらず」とまで言われたほどだ。

 しかし、「反経世会」の急先鋒だった小泉純一郎氏(75)が首相に就任した平成13年に暗転した。
以降、総裁選ではまともに戦えていない。
15年に藤井孝男元運輸相(74)、20年には石破茂前地方創生担当相(60、後に額賀派を離脱し、石破派を旗揚げ)が同派から総裁選に出馬したが、いずれも所属議員が一枚岩になれずに大敗した。
額賀氏も出馬を模索したが、派内で反対されて断念した経験がある。

 一方、かつて覇権を争ったライバルの細田派(清和政策研究会、96人)は、森喜朗(80)、小泉純一郎、福田康夫(81)、安倍晋三(62)の4首相を輩出。
数の上でも17年に第1派閥に躍り出た。

 今年7月3日には麻生派が山東派などと新派閥(59人)を立ち上げて第2派閥となり、額賀派はついに第3派閥となった。

 また、額賀派より数の少ない派閥にも、岸田文雄外相(59、岸田派)や石破氏(石破派)のような派閥を挙げての総裁候補がいる。
額賀派にはそれがいないのだ。

 「グループ(派閥)をもう1回活発にして、いい人材を育てていきたい」

 額賀氏は7月8日の墓参り後、記者団にこう述べたが、具体策は語らなかった。
とはいえ、竹下元首相の志を継ぐ「総裁候補の候補」は、現実的には次の3人しか考えられないというのが多くの所属議員の認識だ。

 茂木敏充政調会長(61)、加藤勝信1億総活躍担当相(61)、小渕優子元経済産業相(43)−。
3人とも他人にはない「強み」を持っている半面、弱点も抱えている。

(以下省略)