【単刀直言】民進党・松野頼久元官房副長官「自民と違う部分に光を当てよ」「『自衛隊=軍隊』認めてよい」「穏健保守を目指せ」
産經新聞:2017.7.17 06:00更新
http://www.sankei.com/politics/news/170717/plt1707170005-n1.html

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民進党の松野頼久衆議院議員=11日午後、東京・永田町(宮川浩和撮影)

 昨年3月に旧民主党や旧維新の党が一緒になって民進党ができました。
僕は旧維新代表として旧民主党側と協議を繰り返してきましたが、そのときにあったのは、自民党以外に政権を狙える政党を作り、政治に緊張感を持たせたいという思いです。
党名を変えたのも「新しく生まれ変わる」という意味だったんですね。

 しかし、今も旧民主党のマインドは切り替わっていませんよ。
政権を経験したせいか、物分かりがよくなり過ぎてしまっている。
「公共事業も必要だ」とかね。民進党が何をやる党なのかがはっきりしない。

 民進党は徹底的に自民党と違う部分に光を当てるべきです。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」によって個人の生活は豊かになっていません。
大企業の留保金が増えるだけです。

 それなら民進党は「人への投資」を徹底すべきです。
自民党が公共事業を中心に財政出動を展開するというなら、新規事業は10年間凍結し、浮いたお金を子育てしやすい環境の整備に充てるという政策を掲げればいいじゃないですか。

 憲法改正もしかりです。
「安倍政権下では議論しない」という子供みたいなことを言っていては次期衆院選は戦えない。自分たちの考える憲法のあり方をしっかりと打ち出すべきです。

 個人的に言うと、憲法は改正すべきだと思う。
自衛隊についても「軍隊」と認めてよいと思う。
その代わり「日本を守るときしか武力行使しない」「活動範囲も日本周辺のみ」とはっきり書き込むべきです。

 吉田茂元首相は、秘書官だった僕の父(松野頼三元防衛庁長官)に「松野君の時代には自分の国はきちんと自分の手で守れるようにしろ」と語ったそうです。

 当時、日本は財政的に自国を守るだけの軍事力を持てなかった。
そして自民党政権は日米同盟にあぐらをかき、自分の手で自国を守る気概を忘れてしまった。

 民進党は「穏健保守」を目指すべきです。
今はちょっと「左」に思われているから、「右」に引っ張ってようやく「穏健保守」になるかもしれないですね。

 野党再編に関しては、個人的な意見で言えば一つになっちゃうことですよ。
社民党も自由党も。やはり民主主義は「数」なんです。そこは割り切らなきゃ。

 自らをしっかり確立すれば、どこと組もうが引っ張られることはない。
「穏健保守に見えない」ということじゃないと思います。自由党の小沢一郎代表が共産党の志位和夫委員長と並んでも「小沢さん、左だな」とは思われない。

 蓮舫執行部の刷新? 不満は相当渦巻いていますよね。
しかし、せっかく「二大政党制を」と思って民進党を作ったわけだから、何とか枠を維持したい。
僕が会長のグループ「創新会」の横山博幸衆院議員から離党届を預かっていますが、懸命に慰留しています。

 執行部には東京都議選に関してしっかりとした総括を求めたい。
民間企業であれば中間決算で大打撃を受ければ戦略を練り直すのは当たり前の話でしょう?

 僕は橋下徹、石原慎太郎両氏が共同代表を務めていた時代の旧日本維新の会で国会議員団幹事長を務めました。
党内にはさまざまな考え方がありましたよ。
原発であれば「絶対反対だ」という人から「原発しかない」という人まで。
議論をガンガンやり合い、メディアでも(分裂含みだと)報道される。
それでも党の方針が決まったら従う。
実は本会議場で造反を出したことは一度もないんですよ。

 民進党には「声をあげるとバラバラになる」と怖がる人がいる。
僕は「侃々諤々(かんかんがくがく)議論をする」「ただし決まったら従う」という文化をこの政党に作りたいんです。