──現在国会では「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法の改正案や、加計学園問題が議題となっています。

高須:なんともどうしようもない議論になっているなぁ。民進党は、どうみたって意義のある質問をしていない。とにかく難癖をつけて時間を稼いでいるだけ。
それなのに「強行採決だ! 十分な議論がなされていない!」と主張するんだから、どうにもならないよ。
国会は、国民のためによりよい法律を作るべく議論を深める場所。野党のわがままを聞く場所ではない。
税金を払っている国民のみなさんはよく我慢していると思うよ。

──「テロ等準備罪」についてはどうお考えですか?

高須:必要だと思う。今の世界はテロの脅威が大きな問題であることは間違いない。それを防止するための法律であり、
国際組織犯罪防止条約に批准するために成立させなければならないものなのだから、反対する理由なんかない。反対するのはテロリストだけだよ。

──テロリストが摘発の対象となるのは当然なのですが、一般の人でも逮捕されてしまう可能性があるという点についてはどうでしょうか?

高須:よっぽど強引に解釈しない限りは、一般人が対象ではないのは分かりきっていること。本当だったらテロを準備しているのであれば、
一般人だって逮捕できないとおかしいくらいだよ。でも、そこまでするとさすがに人権侵害になりかねないし、
そういう意味でもすごくバランスがとれた法案だと思うけどなあ。

──加計学園問題についてはどうでしょうか?

高須:官邸から働きかけがあったというけど、それもまたかなり強引な解釈だと思う。そもそも、加計学園に獣医学部を新設するというのは、
国家戦略特区制度による規制緩和の案件なんだよ。しかも、愛媛県としては獣医学部の新設をずっと願っていたというじゃないか。
文部科学省は既得権益を守りたいがために、それを拒んでいたというんだから、どうして官邸が責められなければいけないのか分からない。

 普通に考えれば、野党が責めるべきは既得権益を守っている文科省のほうであって、規制緩和を進めようとする政府のことはむしろサポートすべきだと思う。
まあ、民進党サイドが既得権益を握っているということであれば、今回の流れも納得できるけどね。でも、もしそうだとしたら、そんな民進党を支持することなんてありえない。
国民の利益よりも、自分たちの利益を優先する政党に何の価値があるんだ。どう考えても、規制緩和を進める政府を支持するのが筋だよ。

──民進党は筋を通していない、と。

高須:そりゃそうだろう。本当に国のため、国民のためを考えているというのであれば、ただ足を引っ張るだけの質問なんてありえないし、
都合の悪いことから逃げまくっている姿勢もおかしいと思う。もう結局のところ、「安倍憎し」ということしか主張がないんだろうなあ。
その結論ありきだから、有意義な議論ができないし、矛盾ばかりになってくるんだよ。

 これは国会だけじゃなくて、ツイッターをやっていても思うことなんだけど、どうも右か左かとか、安倍首相を支持するかどうかとか、
そういう二元論の立場ありきで、発言する人が多い。たとえば、百田尚樹先生の一橋大学での講演会が、先生の理念に反対する人々の圧力もあって中止になった件もそう。
あれは、明らかな言論弾圧だ。どんなイデオロギーを持っていたとしても、発言の場を不当に奪われることはあってはならない。
しかも、それが学問の場であればなおさらのことだ。様々な意見に触れて、そこから知見を深めて、たくさん考えていくのが学問というもので、
大学は一部の人々の考えを押し付ける場所ではないんだよ。

 でも、なぜかネットではこの講演会の件も「ネトウヨvs左翼」みたいな構図で語られてしまう。そういうことではないと思うんだ。
もちろん、僕は百田先生を尊敬しているし、だからこそ今回の件にも興味を持ったわけだけど、これが百田先生とは異なる考えの人の講演会が潰されたとしても、
同じく「言論弾圧だ」と批判していたよ。発言の場を奪われることは、筋が通っていないからね。

 ところがネットでの反応を見ていると、“右か左か”で発言している人が多すぎる。自分の立場ありきでものを話すから、まったく議論も噛み合わないし、
建設的な結論も生まれない。これは本当に情けないことだ。