【SS】かすみ「流しそうめん同好会が分裂の危機ー!?」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
アニガサキ2期1話後の時間軸でもあり、スクスタ2nd season後の時間軸でもある
パラレル、パラレルです ―パスタ同好会、部室―
パスタ同好会部員「部長。たった今連絡が入り、麺同好会部長の逆江戸求が捕まりました」
パスタ同好会部長「今お楽しみ中よん?」クチュクチュ
音楽科生徒「あんっ……♡せんぱぁい……///」
パスタ部長「ここでは“部長”って呼びなさいって言ったはずよ?」キュッ
音楽科生徒「ひゃうんっ!ぶ、部長ぉ、ごめんなさい……」
パスタ部長「貴女フォンニはいまいちだったけど、いい声で哭くのね」
音楽科生徒「ありがとおごはいまふ〜……///」ビクンビクン
パスタ部長「それでぇ?」
パスタ部員「はい、すでに米部とうどん同好会が水面下で動き出してるようです」
パスタ部長「稲穂に重力を引かれたものと小麦の犬が……」ギュッ
音楽科生徒「きゃあんっ♡」
パスタ部員「いかがされますか?」
パスタ部長「いいわん。下着とってちょうだい?」
パスタ部員「はい」
パスタ部長「そっちじゃないわん。デュラム小麦のような黄金色の勝負下着よん♪」
パスタ部員「かしこまりました」
パスタ部長「さてと、グルテンの亡者が集う舞踏会へ参りましょ」 ―小麦同好会、製粉工場―
小麦部員「あのー……良かったんですか?」
小麦部長「何が?」
小麦部員「一応そば派もそうめん派もウチのお得意様では?」
小麦部長「捜査協力は生徒の義務ですからね」
小麦部員「はぁ……?」
小麦部長「それに……」
小麦部員「それに?」
小麦部長「同好会がなくなったら、多くの難民があふれ出ます」
小麦部長「そのうち……いえ、きっとすぐ新しい麺同好会が生まれます」
小麦部員「なるほど」
小麦部長「そして、その新しい同好会の部長はきっと私たちと仲良くなれますよ」 ―数日後、第1会議室―
生徒会副会長「それでは定刻になりましたので、第二回流しそうめんどうこうかい二派閥による会談を行いたいと思います」
副会長「皆さん、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます」
参加者
三船栞子(虹ヶ咲学園生徒会会長・議長)
生徒会副会長(司会進行)
生徒会書記(2名)(書記)
鶴橋水面(みなも)(流しそうめん同好会部長・竹派)
沢小道(流しそうめん同好会部員・竹派)
詰襟凪咲(なぎさ)(流しそうめん同好会副部長・そうめんスライダー派)
土師白光(しらみつ)(流しそうめん同好会部員・そうめんスライダー派)
宮下愛(スクールアイドル同好会部員)
近江彼方(スクールアイドル同好会部員) 栞子「まず初めに私から連絡事項があります」
栞子「まず、前回アドバイザー参加となっていた麺同好会そうめん派2名ですが、先の事件により廃部となったため不参加となります」
ザワザワ... ザワザワ...
栞子「そして同じく前回アドバイザー参加だったスクールアイドル同好会の皆さまですが、本人の申し出により今回はオブザーバー参加となります」
ザワザワ... ザワザワ...
栞子「最後に、今回起きた一連の事件の重要性を踏まえ、公開会談となっています」
ガヤガヤ ガヤガヤ
彼方「とはいうけど、ほとんど小麦がらみみたいだけどね〜」
愛「どういうこと?」
彼方「流そを欲しがってるのは麺同好会だけじゃないってことサ」
彼方「ほら、あそこにいるのはパスタ同好会の部長さんだよ〜。芋部もいるみたいだね〜」
愛「なんかヤな感じ」
副会長「それでは改めて第二回和平会談を始めます」 栞子「改めて確認しますが、次の文化祭の出し物を竹で行くか、そうめんスライダーを使うかですね?」
水面&凪咲「「はい」」
栞子「また今後の同好会の運営も決まる、ということですね?」
水面&凪咲「「はい」」
水面「ただ、そのことについてよろしいでしょうか?」
副会長「はい、流しそうめん同好会部長、鶴橋水面さん」
水面「まず最初に、お忙しい中このような機会を設けていただきありがとうございます」
水面「そしてこの場を借りて私から皆様へお伝えしたいことがあります」
一同「?」
水面「私鶴橋水面は、流しそうめん同好会部長を辞任させていただきます」
一同「!!?」
ザワザワ... ザワザワ...
小道「部長!」ガタッ
凪咲「どうして……」
愛「どういうこと!?」
彼方「これはこれは……」
副会長「皆さん、お静かにお願いします!鶴橋さん、説明をお願いします」 水面「私は今回の事件を通して人が争う愚かさ、一つのものを奪い合う醜さを目の当たりにしました」
水面「一方で、半ば巻き込まれた形で協力し解決に携わってくれたスクールアイドル同好会の皆さん」
愛「へっ?」
水面「皆さんのその前向きな姿勢に心気付かされました」
小道「何を……」
水面「私は伝統という型にはまり前に進むことをしなかった。立ち止まってしまっていた」
小道「そんな……」
水面「犠牲者が出た後で言うのも心苦しいですが、もう竹にこだわるつもりはありません」
白光「……」
凪咲「……はっ!それは負けを認め、今後スライダー主導でやっていく、ということですか!?」
水面「はい」 ザワザワ... ザワザワ...
副会長「静粛に!」
愛「……もしかして、これで終わり?解決?」
彼方「そうだといいんだけどね〜」
愛「それって、どういう……」 小道「私は反対します!」
水面「小道さん?」
小道「私は部長の下で竹の流しそうめんをすっと楽しんできました。入部してからずっと部長に尽くしてきました!」
小道「それなのに……今になってこんな形で終わるなんて、納得できません!」
水面「小道……」
愛「……」
水面「小道、聞いて?」
水面「スライダー派の皆さんも、この場にいる皆さんも聞いてください」
水面「そうめんというのは誰かが流してあげなければ、ただのそうめんです。水に流すことで初めてそれは流しそうめんとなるのです」
水面「当然誰かがそうめんを水に流さなければなりません」 凪咲「何が言いたいの?」
水面「流す土台なんて竹でもプラスチックでも何でもよかったんです!」
一同「!!」
水面「頼れる先輩がいて、可愛い後輩がいて、笑い合って麺を流す仲間がいる。それだけでよかったんです」
一同「…………」
水面「会長、副会長」
栞子「はい」
副会長「は、はい!」
水面「私からは以上です。後ほど改めて書面として提出します」
栞子「わかりました」 凪咲「……」
小道「部長……」
水面「そんな顔しないで。どうせ私たちは文化祭が終わったら引退するの。それがちょっと早まっただけよ」
小道「そんなぁ〜……」グズッ
凪咲「……最初からそうしていれば、こんなことにならずに済んだのに」
水面「ごめんなさい。少し意地になっていました」
凪咲「ま、いずれにせよ今後は私たちスライダー派が…………」
白光「副部長?」
愛「副部長さんさ……なんで泣いてるの?」
凪咲「え……?どうして……」
彼方「構ってほしかっただけなんだよね〜。副部長さんは」
凪咲「ち、違っ……」
小道「そういえば、凪咲ってずっと部長に対抗意識燃やしてたよね」
凪咲「……」 愛「じゃあ、もう争う必要ないじゃん!」
スッ
愛「カナちゃん!?」
彼方「今回彼方ちゃんたちはオブザーバー参加。意見を求められない限り発言はできないんだぜ〜」
愛「そんな……」
彼方「それにきっと大丈夫」
愛「え?」 水面「凪咲、後は頼みましたよ」
副会長「詰襟さん、何か言うことがあれば」
凪咲「わかりました。部長が負けを認めたのなら、今後はスライダーをメインにやっていきます」
愛「なっ……」
凪咲「ですが、部長や竹派の皆さんも満足させるような文化祭を作るとお約束します!」
ザワザワ... ザワザワ...
小道「凪咲……」
凪咲「そして文化祭後も部長の意志を継ぎ、竹派スライダー派の垣根を越えて手を取り合うことを誓います!」
一同「…………」
愛「……」パチパチ
一同「……」パチパチパチパチ
パチパチパチパチ‼‼
愛「な・が・そ!な・が・そ!」 ギャラリー「な・が・そ!な・が・そ!」
副会長「静粛に!静粛に!」
ギャラリー「な・が・そ!な・が・そ!」 ――――――
――――
――
愛「お疲れ!しおってぃー!」
栞子「いったい誰のせいでこんなに疲れたと……」
彼方「まあまあ」
水面「皆さん、この度はありがとうございました」
愛「みなもん……本当に良かったの?辞めて」
水面「みなもん?ええ、もちろん。これで同好会が再び一つになるなら安いものです」
小道「部長!」
水面「小道……」
小道「あ、あのっ……」
水面「副部長をよろしく頼みましたよ」
小道「……はい!」
愛「よかったよかった」
小道「愛さん、スクールアイドル同好会の皆さんありがとうございました!」
水面「中継でご覧になってた他の方にのもお礼を伝えてください」
愛「もちろん!」
水面「それでは私はこれから凪咲と今後について話し合いがありますので」
小道「今度お礼に特製の青いそうめんだけの詰め合わせ持っていきますね」
彼方「それは絵面がちょっと〜……」
水面「それでは失礼します」
愛「またねー!」 栞子「さて、私もこれから今回の報告書を作成しないといけないので」
彼方「じゃあ、後でね〜」
庶務「会長ー!」
栞子「どうしましたか?」
庶務「あの、あの!」
彼方「落ち着きたまえ〜」
庶務「はあ……はあ……」
愛「一体どうしたのさ」
庶務「拘留中の明星梅さんが消えました!」
愛「はあ?」
栞子「消えたってどういうことですか?」
庶務「そのままの意味です」
栞子「監視カメラは?」
庶務「それが、カメラのデータが消えてて……」
愛「データも?」
庶務「それどころか、生徒名簿など彼女に関するすべてのデータが消されていて……まるで最初から存在してなかったような……」
彼方「そりゃ、のっぴきならないね〜」
栞子「もう一度確認してください。私も一緒に探します!」
愛「しおってぃー……」
栞子「とにかく私もこれで失礼します。何かあれば皆さんにもお伝えしますので」
愛「まさか、まだ終わってないの……?」 ―数週間後、スクールアイドル同好会、部室―
ガラガラ〜
愛「あ、カリンおはー」
果林「おはーって、今放課後よ」
愛「おー……そうだっけ?」
果林「ちょっと腑抜けすぎじゃない?」
愛「だってぇ……」
かすみ「仕方ないですよ。あの事件が終わった後ですし、その事件もわかんないことばっかりですし……」
果林「何言ってるの?私たちはスクールアイドルでしょ?」
愛「でも、梅が消えた話の続報もないし……」
果林「あのねえ……」
せつ菜「果林さんの言うとおりです!私たちにできることは現状ありません。なら、自分たちの仕事をするまでです」
エマ「そうだよ。文化祭の流しそうめん同好会の出し物すごかったじゃん」
彼方「光り輝いてたね〜」
かすみ「あれ、いくらかかってたんですかね」
エマ「光ってたし、なんか音も鳴ってたよねー」
果林「さ、思い出話もそれくらいにして、練習するわよ」 コンコン
愛「はーい」ガラッ
御籤「こんにちは」
果林「あら、御籤ちゃん」
愛「どなた?」
果林「ああ、愛は会ったことなかったわね」
せつ菜「情報処理学科2年、足立御籤さんです」
御籤「本当に前生徒会長がせつ菜ちゃんだったわけか」
エマ「例の事件の時、私たちに協力してくれたんだよー」
愛「へぇー」
かすみ「それで何しに来たんですかぁ?」
御籤「ずいぶんだね。せっかく事件解決のお礼にお米アイスを持ってきたっていうのに」
かすみ「わーい!足立先輩ありがとうございますー!」
果林「それだけじゃないでしょ?」
御籤「もちろん。約束通り、今回の事件の真相を話しに来たのさ」
愛「真相?」 御籤「君たちだって、知名度が上がってきた流そに嫉妬した麺同好会がタカトミ同好会の名を騙りテロを起こし壊滅を目論んだ。そう思ってるわけじゃないだろ?」
せつ菜「裏があると?」
御籤「今私が言ったような小さな話じゃない」
エマ「説明してくれるの?」
御籤「そのために来たんだ」
一同「……」
御籤「話は数年前、当時の生徒会が行った“同好会規制緩和政策”から始まっているのさ」
せつ菜「緩和政策が……?」
御籤「そう。その政策で部活内の多くの派閥が独立を果たし、様々な同好会が設立された」
御籤「例えばパン部からはコッペパン同好会が、ウチの米部からは釜めし同好会が独立を果たした」
かすみ「それがどうしたっていうんですか?」
御籤「独立を果たし自分の同好会を持てた各派閥は嬉しいだろうけど、巣立たれたパン部や米部はそうもいかない」
彼方「独立されたら、パン部も米部も自分たちの資源が減っちゃうもんね〜」
御籤「そういうこと」
御籤「資源だけじゃなく、人材や設備も引き抜かれたんだ」
愛「なるほど」 御籤「そんな展開に今の米部部長は納得できなくてね……。何とかして釜飯の抜けた穴を埋めたかったのさ」
果林「それで?」
御籤「そこで目を付けたのが、麺同好会のフォー派だった」
一同「!?」
御籤「部長は何とかしてのフォー派を米部に向かい入れようとした」
かすみ「そんなっ……」
愛「同好会を何だと……」
御籤「もちろん、麺同好会としては面白くない。しかし相手は規模の大きい米部、正面からぶつかれば100%負ける」
果林「そこ自分で言うのね」
御籤「事実だからね」
エマ「それで?」
御籤「窮地に陥った麺同好会は同じく大国で、私たち米部と対立しているパン部に助けを求めたのさ」
愛「パン部……?」 せつ菜「しかし、パン部は……」
御籤「そう。パン部からしたら何のメリットもない。それどころか表立って私たちと争うなんてデメリットでしかない」
果林「でも、パン部も米部がフォー派を手に入れるのを黙って見てる訳にはいかないんじゃない?」
御籤「だからパン部は悩んだろうね……」
かすみ「それでどうしたんですか?」
御籤「なかなか動こうとしないパン部に、麺同好会はこう言った。『以前ウチに所属していた流しそうめん同好会を引き渡す』とね」
一同「!!?」
御籤「麺同好会としては追放したはずの異端が本家より大きくなっているのが気に食わない」
御籤「それがパン部に吸収されその存在がなくなってところで、麺同好会は何も失わない」
愛「それどころか得しかないってこと……」
御籤「というわけで、麺同好会のそば派はそうめん派を使って流そ同好会を分裂させようとした、という訳さ」
御籤「あとは君たちの知っての通り」
エマ「そんな……」
愛「どこまでも流そがモノ扱いじゃん!」
御籤「いったはずだよ?これは利益を求めるための戦争だって」
かすみ「だからって……」
御籤「さて、ここからは現在の話をしよう」
せつ菜「まだ何かあるんですか?」 御籤「今麺同好会はどうなっていると思う?」
愛「どうなったって、廃部になったんじゃ……」
御籤「確かに以前の麺同好会は廃部になった。でもそこに所属していた生徒は?」
かすみ「何が言いたいんですか?」
御籤「元そば派残党が集まり『真生・麺同好会』を結成。部長に元そば派副部長が就任した」
果林「それは……」
せつ菜「校則的には問題ありません。ですが、まず認められないでしょう」
御籤「だろうね。というか実際認められなかった」
御籤「一方で、元そば派会計を中心とした派閥が『手打ちそば同好会』を結成。これはすぐに認可された」
愛「どうして……」
御籤「代表の元会計は親パン派、おそらく小麦同好会とも繋がっているだろうね。だから彼女たちの後ろ盾もあってすぐに認可された」
愛「それじゃあ……」
彼方「事実上の傀儡政権、だね〜」
御籤「まったく……パン部はこの戦争に乗ってこないと思ったら、裏でとんでもないことをしてくれたもんだ……」 エマ「麺同好会の他の生徒はどうなったの?」
御籤「さっき言ったとおり、フォー派とビーフン派は米部が、素麺派は流そ同好会が接収。その他の春雨派なんかにいた人は芋部に亡命したよ」
御籤「さてこの戦争、だれが一番得したんだろうね」
せつ菜「そういえば……」
愛「どうかした?」
せつ菜「はい。こないだ新設されたさつまいも同好会の部長の青山さんが挨拶に来たんですよ」
エマ「あの焼き芋、さつまいも同好会からだったんだー」
果林「どういうこと?」
御籤「春雨とか芋を原料とする派閥はみんな芋部に亡命したからね。結果規模が大きくなったんで、最大派閥だったさつまいも派が同好会として独立したのさ」
愛「それも愛さんたちが麺同好会を潰したから……」
御籤「君たちはただ流そを助けただけだろうけど、これだけの部や同好会が影響を受けたのさ」
愛「……」 彼方「なあに、気にすることはない」
愛「カナちゃん……」
彼方「愛ちゃんが行動を起こしたから流そは助かったんだよ〜」
せつ菜「その通りです!もしそば派の計画が成功していたら、もっと多くの生徒が悲しんでいたはずです」
愛「せっつーもありがとう」
御籤「米部も得したしね」
かすみ「もう、なんでそんなこと言うんですか」
果林「これ以上ウチの愛を悩ませないでくれる?」
御籤「ごめんごめん。悪気はないんだ、本当に感謝してる」 果林「そうやって米部が一番得した…………」
エマ「果林ちゃん?」
果林「まさか……!ごめん、エマ、みんな。ちょっと行ってくるわ!」ガラッ
かすみ「行くってどこに……」
せつ菜「どうしたんでしょう?一体」
御籤「これでこの事件の話はおしまい。すっきりした?」
かすみ「全然ですよ……」
御籤「あ、大事なこと言うの忘れてた」
愛「まだなんかあるの?」
御籤「タカトミ同好会は存在する」
一同「!!?」
せつ菜「し、しかし何をしてもその痕跡一つ見つからなかったんですよ!?」
御籤「そりゃ徹底して存在を隠してるからね」
御籤「でも確かに存在する。この学園の陰に、裏に」
一同「…………」
御籤「せいぜい気を付けるんだね」 御籤「それじゃ、私もそろそろ行くよ」
せつ菜「何はともあれ、ありがとうございました」
御籤「いろいろ言ったけど、君たちに感謝してるのは本当だからね」
かすみ「ホントですかぁ?」
御籤「信用ないなあ。なら今度はおにぎりでも持ってくるよ」
エマ「おにぎり!」
御籤「今年の新米は自信作だからね」
エマ「楽しみー!」
彼方「御籤ちゃんの笑顔初めて見たよ〜」
御籤「私だって笑うさ」
御籤「それじゃあ、またね」
ガラッ
かすみ「まったく、あの人は何がしたかったんですか……」
せつ菜「とにかくいろいろ気を付けたほうがいいかもしれませんね」 ―部室棟、廊下―
御籤「さてと、精米の予定を立てないと……。うるち米派にも声をかけて……」
ザザッ
御籤「?」
青装束の生徒A「情報処理学科2年、足立御籤ね?」
御籤「誰かな?」
青装束の生徒B「私たちは誰でもない」
青装束の生徒C「今までも、そしてこれからも」
青装束の生徒B「それは何人たりとも知ってはいけない」
御籤「そうか……君たちは……」
青装束の生徒A「私たちは存在しない」
青装束の生徒C「よって……」
青装束の生徒A「なかったことにする」ザッ
御籤「はぁ……。新米、食べさせたかったなぁ……」
――――――
――――
―― 生徒会書記「会長!」
栞子「どうしました?明星さんの手がかり見つかりましたか?」
書記「あ、いえ……それはまだ……。それより見てほしいことがあるんですけど……」
栞子「なんですか?」
書記「調べてたら、明星さんの他にもう一人名簿から消えてる生徒がいて……」
栞子「誰ですか!?それは」
書記「それが明星さんの時と同じで、すべてのデータが消えてて誰が消えたのかまでは……」
栞子「明星さんの他にもう一人……」
書記「消えた部分から情報処理学科の2年生、というところまでは判明したんですが……」
栞子「全て消されている……」
――かすみ『っていうか、最初からそんな同好会ないんじゃないですかぁ?』
――彼方『それか、相当慎重に痕跡を消してるかだね〜』
栞子「……まさか……」 ―流しそうめん同好会、部室―
果林「はあ……はあ……」
――御籤『互いが自分の利益最優先で起きてる戦争なんだ』
果林「はあ……はあ……」
――御籤『さてこの戦争、だれが一番得したんだろうね』
コンコン ガラッ
小道「はーいって、果林さん?先日は、どうも」
果林「あなたなの?」
小道「はい?」
果林「あなたが今回の事件仕組んだの?」
小道「……いきなり何を……?」
果林「今回の事件で米部やパン部だけじゃなく、もう一つ利益を得た同好会があったのよ」
小道「……」
果林「それは流しそうめん同好会よ」 小道「……」
果林「どうして解体された麺同好会のそうめん派が、そっくり流しそうめん同好会に行くのかしら?」
小道「何かおかしいとこでも?」
果林「なぜ注目株とはいえ、一同好会が大国に交じってそうめん派の利益を独り占めできたのかしら?」
小道「それは、私たちが被害者だから……」
果林「本当にそれだけ?」
小道「はい?」
果林「本当は小麦同好会辺りと話し合いがあったんじゃない?」
小道「……」 果林「あなたはこの流しそうめん同好会を大きくしたかった。でもそれには麺同好会の本家そうめん派がどうしても邪魔になってくる」
果林「ここであなたたちが分裂しようとすれば、そうめん派は必ず食いついてくる」
果林「それを逆手に取りあなたは麺同好会を崩壊させようと計画し、実際に成功させた」
小道「……」
果林「おそらく愛に相談を持ち掛けたのも、愛なら……過去に同好会を崩壊させた負い目がある彼女なら、この話引き受けてくれる。そう思ってのことよね」
果林「そして愛が味方に付けば、私たちも乗ってくる。そうすれば必ず勝てると思ったんじゃない?」
小道「はあ……」
小道「冗談は、そこまでにしてくださいよ」
果林「なに?」
小道「聞けば麺同好会が行動を起こしたのって、釜めし同好会が米部から独立したのがきっかけなんですよね?」
果林「ええ」
小道「それも私が先導したとでも?」
果林「それは……」
小道「果林先輩の推理は、推理じゃなくて思い付きですよ」
果林「……」 小道「もし私が本当に黒幕なら、「証拠はあるんですか?」なんて聞くところですけど、それ以前の話ですね」
果林「あなたは……」
小道「ま、でも面白い説だとは思いました」
小道「だからお礼に一つだけ教えてあげます」
果林「え?」
小道「愛先輩は優しすぎなんですよ。良い風に言えば“純粋・まっすぐ”なんでしょうけど、そのうち悪い人に騙されちゃいますよ?」
ドンッ!!
小道「!?」
果林「忠告ありがとう。私からも一つ教えてあげるわ」
小道「な、なんですか?」
果林「これ以上愛を悲しませたり、優しさを利用するなら、私が許さないから」
小道「し、親切で言ったんですよ?」
果林「私もただのお節介よ」
果林「わかった。いいわ。今日のところは引いてあげる」
小道「流しそうめん同好会はいつでもお待ちしてますよ」 ―数日後、スクールアイドル同好会、部室―
しずく「なんかかすみちゃんたち、本当に大変だったみたいだねー」
かすみ「いや、大変だったってもんじゃなかったんだから!」
璃奈「今回は私ちょっとしか役に立てなかった」
かすみ「仕方ないよ。しず子は演劇祭の稽古で、りな子は紫苑女で対バンライブだったんだもん」
璃奈「次は必ず助けに行く。璃奈ちゃんボード『期待しててくれよな』」
しずく「私も次回はかすみさんをかばって凶弾に倒れるようにするからね」
かすみ「命の取り合いとかしてないからー!っていうか、次回なんてないし!」
ガラッ
愛「みんないるー!?」
歩夢「大変なの!」
しずく「一体どうしたんですか?」
歩夢「そ、それがね……」
かすみ「落ち着いてください歩夢先輩」
璃奈「ミアちゃんボード『Calm down』」
愛「お!新作?それ」
かすみ「いいから早く話してください」
歩夢「あのね、さっきドミノ同好会が、ドミノ派とドミノ倒し派に分かれて内紛が起きたの!」
かすみ「もう、勘弁してくださーーい!!」
終わり シリアス寄りの話を書くの初めてだったので、いろいろ拙い部分もあったかと思いますが
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。 クソゲー同好会の虚無派とバグ派の争いを仲介する歩夢 乙
幼馴染云々で歩夢が暗躍してるかと思ったけどそんなことなかった 完結乙!素晴らしい!
米部は分裂の火種を抱えたかな。そのうちジャポニカ派とインディカ派が抗争しそう。 歩夢がタカトミのクソゲー派閥で糸引いてるのかと思ったわ 大作乙
コミュニティが安易に分裂できる環境だと部活だろうとマジでこういう争い起きるからなぁ 同好会たくさんあるんやな
学校へ行こうMaxや日本列島ダーツの旅、ナニコレ珍百景に取り上げられてもおかしくない ちょうどワッチャプリマジのCMでそうめんスライダーを見た ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています